はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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そろそろ、友人と呼べる仲に

「よく、降るなぁ」
まだ雪が残る庭に出て、イタリアンパセリを摘んだ。雨は、いったい何を自棄になっているのかと問いたくなるほどに、派手に降っている。
「けど、冷たくないんだよなぁ」
パセリを摘む指先が濡れるも、凍ることはない。つい先週までは、カメラのシャッターを切る手に、よく雪女が息を吹きかけて来たのに。
頭を出したふきのとうや水仙が、春の雨を喜んでいるのが伝わってくる。傘にあたる雨音も、心なしか楽しそうに聞こえてくる。

イタリアンパセリは、何年か前に植えたものだ。種を落としては芽を出し、冬の間もひっそりと落ち葉の下で生息していた。種が飛び、隣りの林にも広がっている。育てるでもなく手などかけずとも、強く強く生きているが、枯れずに冬を越したのは初めて。根もしっかりと張って来たのだろう。昨夏は、パセリ好きなキアゲハの幼虫も見かけた。
しかし、土地にはすっかり馴染んだのだろうが、たまにちぎって料理に使うだけのわたしとは、友人というよりは、特別親しくもない知り合い程度の仲である。だいたいわたしは、植物を枯らすのが特技と言ってもいいほど。触るだけで植物が元気になるという『緑の指』には程遠く、言うなれば『茶色い指』を持つ。触っただけで枯らしてしまうんじゃないかとの危惧もあり、一定の距離を置いているのだ。

だがイタリアンパセリも強く育っていることだし、今年は少し手をかけて、友人と呼べる仲になれるよう努力しようかな。
そうして、山盛りイタリアンパセリオンリーサラダに挑戦しよう。オリーブオイルと酢、下ろしニンニク、塩胡椒の手作りドレッシングで。
「や、やめてください。今のままが、いいんです」
イタリアンパセリの微かな叫びが、雨音に混じって聞こえた。ような気がした。ふふふ。まあ、そう言わず、仲良くやろうぜ!

雨が降るのを、温かい部屋のなかから眺める幸せ。
わずかに雪が残る隣の林は、霧に煙っていました。

イタリアンパセリは濃い緑をして、摘んでと言っているようでした。

茹で卵に、マヨネーズの他、エシャレットとマスタードもたっぷり入れて。
ワインのつまみに持って来いの、簡単一品に映える緑。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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