はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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物語の断片を拾い集めて

仙台の旅では、伊坂幸太郎の小説を身近に感じる嬉しい瞬間が何度もあった。
東北新幹線に乗る時には『はやぶさ』と『こまち』が連結している不思議に『マリアビートル』の真莉亜と七尾の会話を思い出した。

「『こまち』と『はやて』って、中で行き来できないんだよ。信じられないよ。何のための連結?」「幼稚園児でも知ってるよ」
「幼稚園児が知っていても、大人が知らないこともあるんだよ」


ホテルのエレベーターで男性と乗り合わせれば『ゴールデンスランバー』のラストシーンがフラッシュバックし、偶然乗り合わせた男性が、小説のなかにしか存在しない青柳雅春ではないかと一瞬、疑う。

青柳雅春はその時に、自分がボタンを右手の親指で押していることに気づき、はっとした。慌てて、人差し指で押し直す。樋口晴子がこちらを見たかどうか、横目では分からなかった。青柳雅春とは別の人間として生きていくのだとすれば、自分の癖も捨てなくてはならないのは確かだ。


入口が二つある、言うなれば裏口がある大きな本屋を見れば『アヒルと鴨のコインロッカー』で、椎名が引っ越したアパートの隣に住む河崎に挨拶に行った時の印象的なセリフが思い浮かんだ。

「というわけでだ」彼はさらに続けた。「一緒に本屋を襲わないか」
教訓を学んだ。
本屋を襲うくらいの覚悟がなければ、隣人へ挨拶に行くべきではない。


駅から四方八方に伸びる歩道橋を歩けば『ポテチ』を、バスに乗り後ろに座った両親と3歳位の子どもの会話を聞けば『モダン・タイムス』を思いだし、足を運んだ八木山動物公園では『透明ポーラーベア』の動物園は此処しかないと、物語の断片をいくつも拾った。

そして不意に、腑に落ちた。ああ、何処にでもあるんだと。
仙台で紡がれた物語があり、その地を訪れて気づくこととなったが、物語の断片というものは仙台ではなくとも、何処にでも、どんな日々にでも、ありうるシーンの数々なのだと。

『透明ポーラーベア』以外にも、八木山動物公園は、
いくつかの伊坂小説に、舞台として使われています。
『フィッシュストーリー』収録の『動物園のエンジン』など。

猿山の子猿、綱渡りならぬ鎖渡りを楽しんでいました。

去年生まれたという、トラの赤ちゃん。
「もう赤ちゃんじゃなくて、子どもなんじゃない?」とは、
5歳くらいの女の子。動物園側としては、赤ちゃんと言いたいところ。
大人の事情は、動物園にもあるんだよなぁ。

孔雀。羽根を広げなくても綺麗だなぁ。
大鷲を見ていた4歳くらいの男の子とお母さんの会話が面白かった!
お母さん「大きいねぇ。羽根を広げたら、もっともっと大きくなるねぇ」
子ども「僕だって、おしり広げたら、もっともっと大きくなるよ」
隣で笑いをこらえるのに、必死でした。

作り物のように綺麗な、リクガメは『爬虫類館』にいました。
「のんびりいこうよ」と言うかのように、のーんびり食べていました。

「あ、ツルだ! ツルがいたよ!」と、自信満々でお父さんを呼ぶ
女の子にも、素知らぬ態度のフラミンゴ達でした。

『ヒト』の檻。こういう遊び心、好きだなぁ ♪
写真撮影する親子で、けっこうにぎわっていました。
何故か、吠えたり、威嚇したりする子が多いのにも笑えました。
『ヒト』であるわたしとしては、2時間の楽しいウォーキングを、
春の空の下、動物園にさせてもらい、より『ヒト』らしくなれたかも ♪

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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