はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
雨宿りのバル
3日目の夜、バスク地方は、サン・セバスティアンに移動した。
美食の街と言われるここでの目的は、バル巡りだ。夜8時。シャワーを浴びて、もう飲んで寝るだけの体制を整え、夜の街へと繰りだした。
下調べはしていったものの、暗いなかで店を探すのは難しい。というのも、街じゅうバルだらけなのである。
「とりあえず、人があふれてる店に入ろうか」と、夫。
1軒目に入ったバルは、テーブル席もあるにはあるが、店じゅう立ち飲みの人でいっぱい。カウンターには、様々なピンチョスが並べられている。ピンチョスというのは、パンの上に具をのせたバスク地方のタパス(酒の肴)だ。
そこで、流暢な日本語をしゃべる店員さんが、注文の仕方を教えてくれた。皿に好きなピンチョスをとる。飲み物を頼み、皿を見せて会計をする。あとは店の外でも中でも、好きな場所で飲んで食べる。他の店でも、大抵がそうだった。バルを梯子するのも普通のことらしく、ピンチョス一つに飲み物だけでも、歓迎してくれる。初日から、その独特の雰囲気を楽しみ、ピンチョスの品定めをしたりしつつ、3軒梯子した。
そして、2日目には昼に2軒、昼寝をたっぷりしてから、夜にはまた、3軒のバルを楽しんだ。
ドラマは、最後の店で起こった。
「うわぁ、すごい雨! 傘、持ってこなかった」「こりゃ、ひどいなぁ」
2軒目のバルを出ると、土砂降りだった。ふたり次の灯りが見える場所まで走り、名も知らぬバルに駆けこんだ。
無愛想な親父が、夫に、眼鏡を拭けとタオルを渡してくれた。それほどわたし達は、ずぶぬれだったのだ。
「ずぶぬれだね」と、言ったかどうかは判らない。
ひとりで呑むフランス人でバックパッカーの男性が、話しかけてきた。彼は、英語は話せないと言う。夫の英語と、彼のたどたどしいスペイン語。会話はジェスチャーを交えても、通じない部分も多かった。ところが、ある時点で、大きな盛り上がりを見せた。3人とも、エリック・クラプトンが大好きたということが判明したのだ。
『ティアーズ・イン・ヘブン』をわたしが鼻歌で歌い、夫が『レイラ』のイントロを歌う。彼は「クラプトンも含め、すべてのギタリストは、ジミ・ヘンドリックスに影響されている」と熱く語った。そして、変わらぬ強さで降り続く雨に帰りあぐねていたわたし達に、1杯ずつ、ご馳走してくれた。その後、何をしゃべったかは覚えていない。何しろ、その日6杯目のビールだったのだ。
覚えているのは、その土砂降りのなか、20分ほど歩いてホテルに帰ったことだ。ふたり笑いながらクラプトンを歌い、雨に濡れることさえ楽しく、まるでティーンエイジャーのように陽気に歩いた。
その雨宿りのバルの名は、ふたりとも覚えていない。多分もう一度探し歩いても、見つからないんだろうな。あのバルが、本当にあったのかさえも怪しい。
バルのなかは、とてもにぎやかでした。客足が途絶えません。
山盛りのピンチョス。なくなると、どんどん出てきます。
洒落た感じに、並べられた店も。芸術品のようです。
やっぱり茄子を食べるわたし(笑)蟹味噌のチャングロは、名物。
カップに入った、こんなお洒落なチャングロも、ありました。
何故か、きのこも山盛りに積んでありました。焼いてくれるようです。
美食の街と言われるここでの目的は、バル巡りだ。夜8時。シャワーを浴びて、もう飲んで寝るだけの体制を整え、夜の街へと繰りだした。
下調べはしていったものの、暗いなかで店を探すのは難しい。というのも、街じゅうバルだらけなのである。
「とりあえず、人があふれてる店に入ろうか」と、夫。
1軒目に入ったバルは、テーブル席もあるにはあるが、店じゅう立ち飲みの人でいっぱい。カウンターには、様々なピンチョスが並べられている。ピンチョスというのは、パンの上に具をのせたバスク地方のタパス(酒の肴)だ。
そこで、流暢な日本語をしゃべる店員さんが、注文の仕方を教えてくれた。皿に好きなピンチョスをとる。飲み物を頼み、皿を見せて会計をする。あとは店の外でも中でも、好きな場所で飲んで食べる。他の店でも、大抵がそうだった。バルを梯子するのも普通のことらしく、ピンチョス一つに飲み物だけでも、歓迎してくれる。初日から、その独特の雰囲気を楽しみ、ピンチョスの品定めをしたりしつつ、3軒梯子した。
そして、2日目には昼に2軒、昼寝をたっぷりしてから、夜にはまた、3軒のバルを楽しんだ。
ドラマは、最後の店で起こった。
「うわぁ、すごい雨! 傘、持ってこなかった」「こりゃ、ひどいなぁ」
2軒目のバルを出ると、土砂降りだった。ふたり次の灯りが見える場所まで走り、名も知らぬバルに駆けこんだ。
無愛想な親父が、夫に、眼鏡を拭けとタオルを渡してくれた。それほどわたし達は、ずぶぬれだったのだ。
「ずぶぬれだね」と、言ったかどうかは判らない。
ひとりで呑むフランス人でバックパッカーの男性が、話しかけてきた。彼は、英語は話せないと言う。夫の英語と、彼のたどたどしいスペイン語。会話はジェスチャーを交えても、通じない部分も多かった。ところが、ある時点で、大きな盛り上がりを見せた。3人とも、エリック・クラプトンが大好きたということが判明したのだ。
『ティアーズ・イン・ヘブン』をわたしが鼻歌で歌い、夫が『レイラ』のイントロを歌う。彼は「クラプトンも含め、すべてのギタリストは、ジミ・ヘンドリックスに影響されている」と熱く語った。そして、変わらぬ強さで降り続く雨に帰りあぐねていたわたし達に、1杯ずつ、ご馳走してくれた。その後、何をしゃべったかは覚えていない。何しろ、その日6杯目のビールだったのだ。
覚えているのは、その土砂降りのなか、20分ほど歩いてホテルに帰ったことだ。ふたり笑いながらクラプトンを歌い、雨に濡れることさえ楽しく、まるでティーンエイジャーのように陽気に歩いた。
その雨宿りのバルの名は、ふたりとも覚えていない。多分もう一度探し歩いても、見つからないんだろうな。あのバルが、本当にあったのかさえも怪しい。
バルのなかは、とてもにぎやかでした。客足が途絶えません。
山盛りのピンチョス。なくなると、どんどん出てきます。
洒落た感じに、並べられた店も。芸術品のようです。
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何故か、きのこも山盛りに積んでありました。焼いてくれるようです。
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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