はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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財布を忘れて

♪ お魚くわえたドラ猫 追っかけて 裸足でかけてく 陽気なサザエさん ♪
言うまでもないが、アニメ『サザエさん』の主題歌である。

「まったく、サザエさんじゃあるまいし」
自分で自分をチカラなく笑うわたしは、無論、裸足でドラ猫を追いかけた訳ではない。週末、夫と立ち寄った蕎麦屋で、会計を済ませようとしたレジで、財布を忘れたことに気づいたのだ。
「あ、お財布、忘れちゃった」
驚きと共に、苦笑するわたしに呆れた顔をし、夫は財布をとり出した。
「信じられないことするねぇ、きみは」
しょうがないので「ご馳走様です」と、笑うと、
「あ、それ、いいですねぇ。わたしもやろうっと」
レジに立つ若い女性が、笑って話にノッてくれた。
客商売だからというのはあるかも知れないが、こういうときに、すっと話にノッて笑いを共有できる人って、素敵だなと思う。

そんなこともあり、久々に『サザエさん』の歌をくちずさんでみた訳だが、あれ?ドラ猫だったっけ、野良猫だったっけ? と、記憶があいまいなことに気づき、調べてみた。正解は、ドラ猫。
興味が湧いて、ドラ猫の「ドラ」って何だろうかと、ふたたび調べる。お寺の鐘、銅鑼が語源で「鐘をつく」と「金を尽くす」を重ねて、遊び好きの金ばかりかかる息子をドラ息子と呼ぶようになり、盗み食いする野良猫をも、そう呼ぶようになったとかかれているものが多かった。
「パラサイト」とか「ニート」とか呼ぶ以前にも「ドラ息子」は居たのだなぁと考えた。昔はそれさえも、のどかな空気を漂わせる言葉で語られていたのだろう。それがカタカナ言葉になると、途端にピリピリとした空気に一変してしまうから不思議だ。東京でひとり暮らす我が息子は、フリーターではあるが、金のかかるドラ息子ではなく、経済的には自立している。それでも心配なのに、遊び呆けているドラ息子がいたら、親もさぞ心配だっただろうに。
深刻な雰囲気を持たないのは、ドラ息子という言葉に、愛情がこもっているように感じるからかも知れない。

♪ 買い物しようと町まで 出かけたが 財布を忘れて 愉快なサザエさん ♪
「ぜんぜん、愉快じゃないんだけどなぁ。財布忘れたら」
それを愉快と笑って済ませる時代は、終わりに近づいているのだと、財布のなかのクレジットカードや電子マネーを見て、しみじみ考えたのだった。

小淵沢の蕎麦屋『そばきり祥香』でのことでした。
蕎麦屋っぽくないピンクのペンション風の建物ですが、美味しかったです。

手びねりの焼き物に盛られた、自家製のお漬物に、温もりを感じました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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