はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『密室の鍵貸します』

東川篤哉『密室の鍵貸します』(光文社文庫)を、読んだ。
『謎解きはディナーのあとで』(小学館)が、大ヒットした作家のデビュー作だ。『ディナー』の方は、というと、まだ読んでいない。普通なら、平積みされたヒット作から読むのだが、ヒットした本にまとわりつく評価に惑わされたのだ。売れた本は、たくさんの人が読み、言いたいことを言う。
「言うほど、おもしろくないじゃん」「読んで、損した」
「ドラマのキャスト見た? 桜井翔なんだよね、キライー」
などなど、言いたい放題であるが、ヒット作の宿命とも言えよう。だが、楽しんで読む人が多いなか『ディナー』について言えば、そんな声が友人知人から聞こえてきてクローズアップされ、わたしの耳に大きく響いた。なので、これまで何度となく目の前を通過しつつも、避けて通ってきた訳だ。
我が道を行こうと心に決めながら、周囲に惑わされつつ生きている優柔不断さに呆れつつも、そんな自分を情けなくも再確認する。

それを払拭したのは、本屋で見かけた『密室の鍵貸します』のタイトルと、帯の文句だった。「烏賊川市(いかがわし)は私の本籍地である(著者)」
遊んでいる。舞台の名からして、意味なく「いかがわし」い。タイトルも名作映画『アパートの鍵貸します』からとったことは、明白。同シリーズの第2弾のタイトルは『密室に向かって撃て!』もちろん『明日に向かって撃て!』からつけられたものだ。真剣勝負で、遊んでいる。そこに、感動すら覚えた。
上質のユーモアとは言えずとも、上質のギャグ炸裂の予感。文庫本を手に、そのままレジに向かった。そして無論、予感は的中し、ベッドのなかで夜中まで、くすくす笑いながら読んだのだった。

主人公は、映画学科に通う大学生、流平。彼を振った恋人が殺された同夜、部屋を訪ね一緒に飲んでいた先輩が、気づかぬうちに浴室で刺され、死んでいた。気づいた時にはドアにはチェーンがかかっていて、部屋は完全密室状態。なかには先輩の死体と流平だけ、というマズイ状況に陥り、当然の如く、恋人殺しの疑いもかけられるわで、もう逃げるしかなくなって・・・。

「ああ、ユーモア(上質のギャグ)ミステリーって、いいわぁ」
連打されるくだらないユーモア(上質のギャグ)に、心くすぐられ、急ぎ『謎解きはディナーのあとで』を買いに走ったことは言うまでもない。

『ここに死体を捨てないでください!』は、烏賊川市シリーズ第5弾。
文庫の表紙も、漫画っぽいのとミステリーっぽいのと、2種類ありました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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