はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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母親の影響力を消す努力

娘は受験生であるから、間違ったことは教えられない。しかし、わたしは自分の知識にまったく自信がない。そういう時にはどうすればいいのか。母が言うことを信じてはいけないと、きちんとすり込むことが大切なのだ。
「東京と山梨ってキロにするとどのくらいの距離?」
娘に聞かれ、わたしは考えて答えた。
「200kmくらいかな」「そうか」
しかし、ここで話を終えてはいけない。
「では今、母が答えを出すまでの頭の中をお見せしましょう」
わたしは、真実を偽ることなく話し始める。
「まず、新幹線はどのくらいの速度で走るか考える」「はあ」
「時速250キロ♪」と新幹線の歌を歌う。「はあ」
「で、あずさは新幹線より遅いから150キロくらいと考える」「はあ」
「新宿、甲府間あずさで1時間半だから、200キロかなって」「……」
「なので信憑性はまるでありません」
「わかったけど、その新幹線の歌って何?」
「びゅわーん、びゅわーん、びゅわーん、走るぅーーー♪」
「返事になってないけど……」
とまあ、こんな感じで母の知識の信憑性のなさを度々アピールしている。
(JRによると新宿甲府間123.8kmだそうです)
 
母親の影響力と言うのは、頭で考えるよりも大きなものだと、わたしは思っている。子どもの頃の体験から得たものだ。
「お母さん、牛って漢字は、上、出るの?」と小学3年生のわたし。
「出ないよ」と母。しかし出ないと午だ。それをわたしは、中学に上がるまで信じていた。母の言葉を信頼していたのだ。
中学に入り気づいた時には苦笑した。たぶん母には悪気はない。何か他のことをしながら娘の言葉に答えたのだろう。生返事をしただけだ。母親って。と中学生のわたしは自分に呆れながらも思ったものだ。
 
「駿河って静岡だよね?」と娘。
「わかんないけど、海の辺りってことはわかる」とわたし。
「河なのに?」「では、今考えたことをお話ししましょう」「はあ」
「駿河のするは、するめのするだから、海の近く」
「河はどこ行ったの?」「3文字の内の2文字の方が強い」
「……」娘は無言になった。

オーストラリアの娘が撮った海 駿河ではありません
タスマニアのブルーニーアイランド

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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