はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
7時1分の謎
毎朝、7時1分に7時1分と会う。
無人駅に同じように送り迎えをしている「・7 01」というナンバーの車を娘とわたしは7時1分と呼んでいる。
娘は7分の電車に乗るので信号待ちや何かを考えて7時過ぎには着くようにしている。同じ電車に乗る同じ高校に通う男の子を送って来ているようだが、娘とは知り合いではないらしい。その7時1分が、いつも子どもを降ろした後もしばらく停車しているのが気になっている。母親と思われる人は、煙草を吸うでもなくケータイをいじるでもなく、珈琲をドリップする様子も見られない。
「7時1分、なんですぐに帰らないんだろう?」
駅に着き、助手席でマフラーを巻き始めた娘に疑問を投げかけてみた。
「見守ってるんじゃない? あの子が学校に通うのもあと何日だわとか」
感傷にひたって、毎朝背中を見つめているのか?
「あ、助手席に犬がいる。犬が改札辺りずっとを見てる」
無人駅なので改札はないのだが、毛の長いベージュの小型犬は、確かに男の子が歩いて行った方を見つめていた。
「犬が見守ってるのかな?」「ワン」
娘は相手にしていられないというように擬音で返事をし、マフラーを巻き終え車を降りた。
「お兄ちゃん、行っちゃったね」「ワン」
「淋しいけど、お家に帰ろうね」「いやだワン」
などという会話が繰り広げられているのだろうかと思いつつも、わたしは7時1分を残し、毎朝、駅を去る。
永遠に解けない謎というものが、人生には散りばめられているのだ。
帰り道、見つけて手折った野生のツルウメモドキ。
何処に飾ろうかな。
無人駅に同じように送り迎えをしている「・7 01」というナンバーの車を娘とわたしは7時1分と呼んでいる。
娘は7分の電車に乗るので信号待ちや何かを考えて7時過ぎには着くようにしている。同じ電車に乗る同じ高校に通う男の子を送って来ているようだが、娘とは知り合いではないらしい。その7時1分が、いつも子どもを降ろした後もしばらく停車しているのが気になっている。母親と思われる人は、煙草を吸うでもなくケータイをいじるでもなく、珈琲をドリップする様子も見られない。
「7時1分、なんですぐに帰らないんだろう?」
駅に着き、助手席でマフラーを巻き始めた娘に疑問を投げかけてみた。
「見守ってるんじゃない? あの子が学校に通うのもあと何日だわとか」
感傷にひたって、毎朝背中を見つめているのか?
「あ、助手席に犬がいる。犬が改札辺りずっとを見てる」
無人駅なので改札はないのだが、毛の長いベージュの小型犬は、確かに男の子が歩いて行った方を見つめていた。
「犬が見守ってるのかな?」「ワン」
娘は相手にしていられないというように擬音で返事をし、マフラーを巻き終え車を降りた。
「お兄ちゃん、行っちゃったね」「ワン」
「淋しいけど、お家に帰ろうね」「いやだワン」
などという会話が繰り広げられているのだろうかと思いつつも、わたしは7時1分を残し、毎朝、駅を去る。
永遠に解けない謎というものが、人生には散りばめられているのだ。
帰り道、見つけて手折った野生のツルウメモドキ。
何処に飾ろうかな。
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)