はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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歴史に残らない特別であり平和な時間

数えてみたら40品目を超えていた。食べた物の種類のことだ。調味料なども合わせて数えて1日30品目を目標にしようと、昔、栄養学で学んだのだ。
「からだにいい食生活してるよなぁ」と夫。
朝食だけで20品目以上。前日の肉じゃがや娘のお弁当の鮭など残り物があったこともあるし、味噌汁には冷蔵庫野菜整理にしなびた小松菜や葱の青い部分、椎茸も入れた。そして、ちりめんと一緒に胡麻油で炒めた大根の葉っぱをご飯には乗せた。昼はパスタとサラダ。夜はおでん。いろいろ入っている物ばかりが重なったせいもある。
「ピース」ひとりキッチンでピースする。やったね! って感じ?
しかしピースとは平和の意味だ。やったね! ならVサインなんじゃないかと細かいことを考える。でもいいな、ピース。音がいい。もう一度言ってみる。「ピース」
 
「今日も平和でした」というのは娘の口癖だ。迎えに行った車の中で本日のスポットを語り「そんな感じで、今日も平和でした」
ピース。こうしてご飯を美味しく食べられることって、もしかしたら大きな平和を手にしているってことなのかもしれない。
伊坂の『チルドレン』(講談社)で盲目の青年、永瀬がしみじみと考えるシーンがある。
「歴史に残るような特別さはなかったけれど、僕にはこれが、特別な時間なのだ、と分かった。この特別ができるだけ長く続けばいいな、と思う」
家族とご飯を食べるという毎日の時間にも、たぶん歴史には残らない特別さがあり、そして平和があるのだと、永瀬にならいしみじみと考えた。
そういえば、伊坂幸太郎ファンクラブ(在籍2名)の仲間がめずらしく頭を悩ませていた。
「どの本の、どのシーンで、誰が言ってたのか、思い出せないー」
ピースについて誰かが語っていたシーンがあったはずだというのだ。
「『重力ピエロ』(新潮社)じゃないことだけは、確かだけど?」
「それはわかってる。あー気持ち悪い。思い出せないーー」
「平和だねぇ」と言うと、彼女は憮然とした顔をした。
たぶん歴史には残らないが、特別であり、そして平和な時間である。

平和な朝ご飯の図。
いただいた大根4本のうち、3本をもうすっかり食べてしまいました。
葉っぱももうありません。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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