はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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吊るし雲の名前から吹いた風

八ヶ岳下ろしが、北側の外板を叩いている。
叩くだけならまだいいが、ときに、つかみかかり揺さぶったりもする。木の家は揺れる。風や地震に弱い訳ではない。揺れることで自らを守っているのだ。柔軟なのである。だから毎年の北風にもふっと怖くなるほどに揺れ、リビングでくつろぎながらも自然の力を、その恐ろしさを感じさせられるときがある。
「今夜は、吹くな」
昼間、低い場所に浮かぶ吊るし雲(つるしぐも)を見たときから、判っていた。空高い場所で吹き荒れた風が作るその雲は、人が暮らす里にも強い風を吹かせるのだ。

吊るし雲。不思議な名だ。
流れゆく気ままにも見える雲のなかでは、その場にじっとして動かないように見えることで、まるでそこに吊るされているかのようだと名づけられたという。名前というのは、その名を知った瞬間から、そのもののイメージとなる。
吊るされた雲からは、細い細いピアノ線が天まで伸びているかのように思えてくるし、そう思うと、その天上には誰かがいて、ピアノ線を垂らしているようにも思えてくる。そう考えた瞬間、他の雲達まで、さっきとは何やら違う顔をしているかのように思えてくる。一つの名から作られたイメージが、空全体を変えていく。それは、自分のなかで一瞬吹いた風のような感覚だ。

翌朝、木枯らしはやんでいた。吊るし雲も、もう吊るされてはいなかった。

8日の午後の空です。雲の形って、ほんとうに不思議ですね。

定点観測地点で少しずらして、八ヶ岳と並べて撮ってみました。
吊るし雲と八ヶ岳、なにかおしゃべりしているように見えますね。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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