はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ブーツの修理

迷いに迷って、決めた。ブーツの修理である。
以前、真冬の箱根に温泉で温まろうと出かけたとき、履いていたブーツのかかとが外れてしまい、慌てて入った靴屋で買ったブーツだ。壊れたのはかなり年季が入ったブーツだったのでショックは大きくなかったが、旅先で靴が壊れるというのは、何とも心許ないものだとすっかり落ち込んでいた。
だが、そこで入った靴屋で見つけたブーツを履いた途端、春の光が射しこんだかのような明るい気持ちになった。ぴっりだったのだ。こんなにぴったりの靴は履いたことがない、というほどだ。

そのブーツを履いて3年ほど。白っぽい色なので汚れが落ちず、爪先などはすり切れている。下駄箱から出してみて、これでは雪の日の長靴代わりにしか履けないと、顔をしかめた。
「何とか、ならないかなあ」
靴を修理できるところを探したが、けっこう値が張る。見積もりをしてもらうと、色を塗り直す必要があり、1万円弱かかるという。
「1万円出せば、新しいブーツ買えるよなあ」
お気に入りのブーツは、普段履きにして、新しいものを買おうかと考えていたら、夫が言った。
「気に入ってるんだったら、修理に出せば? 足に合う靴は、なかなか見つからないもんだよ」
迷いに迷っていたのは、箱根で出会ったときにわくわくしたあのブーツを、もう一度履きたいと思っていたからだったのだ。夫にアドバイスしてもらい、もやもやしていた自分の気持ちがはっきりと判った。
修理には2週間ほどかかるという。
「綺麗になって帰ってくるのを楽しみにしているよ」
修理屋さんで手渡すとき、心のなかでそっと声をかけた。

『旅靴屋』という何故か箱根にあった神戸のお店で購入したブーツ。
正面から撮ると、ほんとうにしみだらけなので斜め後ろから撮影しました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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