はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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千切りセロリと泣きたい気持ち

昨日の夕方、久しぶりにパニックに陥っていた。
来週初めに予定を入れたため、経理の仕事を週末にしなくてはならず、それを判っていながら、次々に予定を入れてしまったのだ。
片づけられない女代表のわたしは、部屋の片付けも苦手だが、やらなければならないことを頭のなかで整理整頓することも苦手なのだ。
あれもこれも、これもあれも、やらなくちゃ。そんなふうにパニックに陥ると、泣きたい気持ちになる。いい大人なのに、と自分でも思うが、いい大人だって泣きたい気持ちになることは、ままあるのだ。

ある程度仕事をやっつけて、だが泣きたい気持ちはボルテージを上げていく。
「だめだ。だめだ」
仕事は明朝に回し、とりあえずキッチンに立つことにした。メニューは決まっている。セロリと鶏肉のサラダだ。セロリを刻むのは好きだが時間がかかる。
「どうしてこんな日に、セロリなの?」
自分で決めたメニューに自分で追い詰められているなんて、なんてダメな奴なんだろうと、さらに落ち込んでいく。
しかし、セロリを刻むうち、マイナスな気持ちが次第に消えていった。
何故だろうかと考えて、セロリを刻むといつも思い出す言葉のせいだと思い当たった。お隣りのご主人を招いて酒盛りをしたときのことだ。
「これはまた、よく刻んだねえ」
セロリのサラダを見て、彼は言った。
「はい。刻みました」と、わたし。
「うん。ほんとうにまた、よく刻んだねえ」
ひと口つまんで、ふたたび彼は言った。
「はい。がんばりました」と、わたし。
何年前のことだったかも忘れたが、セロリを刻むたびにその「よく刻んだねえ」を思い出すのだ。

褒められたいと思って料理する訳ではない。仕事も然りだ。だが褒められれば嬉しい。その記憶は、何かの拍子に出てきてわたしを助けてくれる。ほんの小さなことだが、その小さなことで切り抜けられる時、というものがあるのだ。

セロリのサラダが出来上がる頃には、泣きたい気持ちは、まるで最初からなかったかのようにすっかり何処かへいってしまっていた。

我が家定番のセロリの千切りサラダ。にんにくと醬油で焼いた、
鶏ささみと一緒に山葵マヨネーズで和えて、茗荷をのせます。
山葵は、生のものをすりおろすと、いい香りが口のなかに広がります。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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