はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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近未来の街を眺めて

久しぶりに新宿に出ると、クリスマスの装いに驚かされた。
南口の改札を抜けると、花屋にはポインセチアが赤い葉を揺らし、クリスマスリースだのスノーマンだのが飾られている。雑貨屋『フランフラン』や東急ハンズでは、クリスマスツリーやリースなどの飾りが店内入口に眩しいほどの華やかさで売られている。
「ついこのあいだまでは、ハロウィン色だったのかな」
そう思うと、季節の先取りに人間の方が踊らされているようにも思えて、可笑しくなった。だが売る方は商売なのだ。真剣に取り組んでいる姿には敬意を払いたい。子ども達が巣立ち、クリスマス飾りと無縁になった今、それらを手に取ることはないのだが。

そんな都会の風に吹かれ、所用で一泊した朝、JR南口にあるお気に入りのパン屋で朝食をとった。焼き立てのパンと美味しい珈琲。1階に売り場があり、2階にはテーブルやカウンター席が並ぶ。朝の明るい陽射しが爽やかだった。
「いろいろだねえ」カウンターから通り行く人を眺め、夫が言った。
「ああ、服装のこと?」同じように感じていたので、すぐに判る。
コートを着てマフラーを巻いた人。薄手のパーカーを羽織る人。分厚いセーターを着た人。ジーンズに半袖シャツ1枚の人。ダウンジャケットをしっかり着込んだ人。本来の季節が判らなくなってくるほどに、まちまちだった。
会社員はスーツだから簡単だろうという訳でもない。かく言う夫も、毎朝のように迷っている。
「コーデュロイじゃ、暑苦しく見えるかな?」
「でも、さすがに夏物って訳にはいかないよねえ?」
11月なら、とっくに着ているような服装だが、今年は北風小僧がやってくるのを嫌がっているかのような暖かな日が続いている。まるで季節にからかわれているかのようだ。

熱い珈琲を飲みながら、近未来みたいだな、と思う。クリスマスの装いの街に半袖シャツの人。何処か遠くの星を旅しているような、地に足がつかないような不安定さを一瞬感じ、ふわりと立ちくらみがした。

JR南口改札前のお花屋さん。ポインセチアの赤が眩しかったです。

こちらがパン屋さん『GONTRAN CHERRIER(ゴントラン シェリエ)』

白が基調の店内は、何気なく赤と青が効いたトリコロールカラー。

焼きたてのイカ墨フォカッチャと珈琲の、朝ご飯です。

JR新宿駅南口が見える、明るいカウンターで食べました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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