はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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シュミラクラ現象に負けるな

休日の朝7時。夫に誘われて、散歩に出た。
すでに汗ばむような陽射しだったが、未明には気温が下がったのだろう。山々がくっきりと綺麗に観えていたのだ。
一昨日、久しぶりに丸1日寝込んでいたので逡巡したが、気分転換にいいかも知れないと、ついていくことにした。行きはほとんど下り坂で影になる場所が多いが帰りは登り坂で日向ばかり。「行きはよいよい帰りは怖いコース」だ。山がいちばん綺麗に観えるコースが、それなんだからしょうがない。

「僕にかまわず、先に行ってくれ」
登り坂になった途端、わたしが言うと、夫がなつかしそうに笑った。
「びっきーじゃ、ないんだからさ」
1年半前に死んだびっきー。最後の1年くらいは体力も落ち、散歩で登り坂になると突然あからさまにスローペースになったり、草の匂いを嗅いで誤魔化そうとしたりしていたっけ。

コース終盤は、堰沿いの平坦な木陰の道を歩く。ホッとするはずの場所なのだが、ここにも難関が待ち受けている。我が家の北側の道で、堰向こうを見上げると北側の外板に、何年か前キイロスズメバチが作った巣がよく見える。
「またずいぶんと穴が、大きくなったなぁ。鳥が、住んでるのかも」
夫が言ったのと同時に、巣から鳥が飛んで行った。
「住んでるね。はっきり」ふたり、苦笑する。
キイロスズメバチは、翌年には移動し、同じ巣は使わないので、あとは朽ちるか、野鳥達が再利用するかのどちらかだ。まあ、何の害も与えない野鳥が住む分には、かまわない。かまわないのだが、その穴の空け方だけ何とかしてほしいと、常日頃から思いながらも直視するのを避けている場所がそこなのだ。

その巣に空けられた穴は、丸いものが2つ、切り込むような線になっているものが1つ。それが何故か、いびつなヒトの顔に見える。
我が家の外板に顔があるなんて、嬉しいことじゃない。見るたびに、あれは顔じゃないと自分に言い聞かせるが、どうしても顔に見えてしまう。負けないぞ、と戦いの意思を示した時点で、すでに巣を誰かの顔だと認識しつつ戦いを挑んでいることに気づき、がっくりと膝をつく始末。昨日もやはり、穴あきキイロスズメバチの巣に勝つことはできず、「僕にかまわず、先に行ってくれ」と、先を行く夫に、力なく声をかけたのだった。

どうしても、口を大きく開けたヒトの顔に見えてしまいます。
3つの点が顔に見える「シュミラクラ現象」は、動物にプログラムされた
外敵を認識するためのものだそうです。でも、点が1つ足りないのに。

八ヶ岳の雪もほとんど解けました。もうあとは、根雪かな。

南アルプスの甲斐駒ケ岳は白い石が多く、夏でも白く見えるのだとか。

畔にはアザミがのびのびと咲き、気持ちのいい散歩でした。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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