はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ままならない気持ち

馴染みの道でさえ、見知らぬ道へと迷い込んでしまうほどの方向音痴。
昨日、そうかいて思い出したことがある。40年以上前、東京は板橋でのこと。わたしが小学校に入学したばかりの頃、下校した道でのことだ。

今とは違い、下校時に大人が付き添うこともなく、上級生達とも下校時間が合わず、ひとりで20分ほどの道程を歩いて帰っていた。その頃から、たぶん方向音痴ではあったが、生まれ育った辺りの道を間違えることもなく、迷うことはなかった。あの頃は、就学前であっても近所の子ども達とつるみ、けっこう遠くまで遊びに出かけていたのだ。
そんなこともあり、周辺のスポットは把握していた。川沿いの下校ルートを左に迂回したところには「アベック山」(!)があったし、右手の先へ行けば「お化け山」や「鬼ばば山」へと続いていた。

下校ルートは川沿いの道と決められていたが、わたしは入学後しばらくの間、決められたルートを歩くことができなかった。それがある日、大人達に知られてしまう。その後、大人の目が届かないルート以外の場所に潜む危険などを説かれ、何度も叱られることとなる。大人になった今では理解できる。しかし、その頃のわたしは「だいじょうぶなのに」と根拠なく思っただけだった。
逸れて歩いた道に魅力的なものがあった訳でもない。ましてや、決められたルートに不満があった訳ではない。いくつかの分かれ道で、どうしても足が違う方へと向いてしまうのだ。今考えても、謎である。ただふらっと歩きたい方へ歩く。そんな魅力に抗えなかった、としか言いようがない。
「どうして、言うことが聞けないの?」
大人は問いただし、子どもに言い聞かせる。だがそんなことを言われても、自分の気持ちでさえもままならず、原因など説明できるものではないのだ。
そのとき、初めて気づいた。
「そうかあ。自分の気持ちって、自分でも判らないことがあるんだ」

大人になった今でもふと、ふらりと道を逸れてしまいそうになると、あのとき下校した道を思い出す。蹴りながら歩いた石ころや、勝手にパンをあげた飼い犬や、急な坂のアスファルトのつんとした匂いなんかを。

明野小学校の桜は、まだ硬い蕾でした。
こちらは、いつも通る道で、少し早めに咲く枝垂れ桜です。

三分咲きくらいでしょうか。蕾の濃いピンクが可愛いです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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