はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
食器達の戸惑い
食器達が戸惑っている。定位置に片づけられる穏やかな日常から、何処へ行くのかわからないスリリングな日々への突然の変化に、緊張が続いている。
「はじめまして。酒を注ぐのを生業としているものです」と、漆塗りの片口。
「僕らは朝ご飯に食卓に出るので、お会いするのも初めてですね」と、お椀。
「しかし、確かにわたし達、似ておりますね」「いや、確かに」
サムは漆塗りの片口を、食器棚のお椀の場所に片づけていた。彼はよく、皿洗いや食器の片づけをしてくれる。何を聞くわけでもなく、自分のスタイルでごく自然に片づけてくれるので、こちらもそういう時には、ありがとうと言い任せることにした。しかしその食器を片づける場所が、外国人ならではの感性で面白い。片口とお椀の他にも、ぐい飲みが醤油皿の上に重ねられていた。
「こうやって重ねられるのは、不思議な感じだよね」と、ぐい飲み。
「食卓に、一緒に並べられることはあってもねぇ」と、醤油皿。
「きみは小ぶりだから鯵の叩きの時とかに、活躍してるよね」
「そうそう。日本酒が美味しく飲めるみたいだよね」
ぐい飲みと醤油皿は知った仲だが、やはり戸惑いは隠せない。
他には、ご飯茶碗と小鉢も。
「なかなか緊張感のある日々でしたな」と、ご飯茶碗。
「それももう終わるのかと思うと、淋しい気持ちにもなりますね」と、小鉢。
そう。サムのステイは、今日までだ。
軽くて手ごろな大きさの漆塗りの片口は、いただきものです。
サムは時々、お椀でコーンフレークを食べていました。
確かに大きさも同じくらいですね。
右側のごっつい茶碗は夫用。少し欠けていますが、気に入って使っています。
上の娘が夫の茶碗を使っていたので注意したら、自由人の彼女いわく。
「誰のだっていいじゃん。食べたいお茶碗で、食べればいいじゃん」
「はじめまして。酒を注ぐのを生業としているものです」と、漆塗りの片口。
「僕らは朝ご飯に食卓に出るので、お会いするのも初めてですね」と、お椀。
「しかし、確かにわたし達、似ておりますね」「いや、確かに」
サムは漆塗りの片口を、食器棚のお椀の場所に片づけていた。彼はよく、皿洗いや食器の片づけをしてくれる。何を聞くわけでもなく、自分のスタイルでごく自然に片づけてくれるので、こちらもそういう時には、ありがとうと言い任せることにした。しかしその食器を片づける場所が、外国人ならではの感性で面白い。片口とお椀の他にも、ぐい飲みが醤油皿の上に重ねられていた。
「こうやって重ねられるのは、不思議な感じだよね」と、ぐい飲み。
「食卓に、一緒に並べられることはあってもねぇ」と、醤油皿。
「きみは小ぶりだから鯵の叩きの時とかに、活躍してるよね」
「そうそう。日本酒が美味しく飲めるみたいだよね」
ぐい飲みと醤油皿は知った仲だが、やはり戸惑いは隠せない。
他には、ご飯茶碗と小鉢も。
「なかなか緊張感のある日々でしたな」と、ご飯茶碗。
「それももう終わるのかと思うと、淋しい気持ちにもなりますね」と、小鉢。
そう。サムのステイは、今日までだ。
軽くて手ごろな大きさの漆塗りの片口は、いただきものです。
サムは時々、お椀でコーンフレークを食べていました。
確かに大きさも同じくらいですね。
右側のごっつい茶碗は夫用。少し欠けていますが、気に入って使っています。
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「誰のだっていいじゃん。食べたいお茶碗で、食べればいいじゃん」
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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