はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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鍋のなかには

上の娘は「お腹減ったぁ」と帰って来るなり、台所の鍋のふたを開ける。

彼女の兄も、妹も、そんなことはしない。息子に関して言えば「お腹空いた」という言葉を聞いたのは、たぶん小学校に上がるくらいまで。お腹が空いても、気にせずいつも読書に夢中になっている本の虫だった。多分、今も。ただ今は、ご飯を作るのも自分なひとり暮らしなのだから、朝昼晩と規則正しくご飯が出てくる訳ではない。お腹が減ったら食べているのだろう。

下の娘は、脂っこいものを食べると調子をくずすことが多く、夜はほとんど野菜しか食べなかった。鍋の中身など、気にすることはなかった。最近会った彼女は、居酒屋で唐揚げを頬張っていたから、お腹も強くなったのだろう。ひとり暮らしで料理も楽しんでいるらしい。

で、今大学4年の共に暮らしている上の娘。彼女は、昔っからそうだった。特別好奇心が旺盛という風でもない。幼い頃、引き出しを開け、中の物を出す作業を繰り返したのは息子だった。しかし鍋のふたは、彼女のものだった。
早く帰ってくれば、まだ夕飯の支度もできていなくて、鍋は空っぽ。
「空です」と、何回言ったことか。
それでも、そこに鍋がある限り彼女はふたを開けずにはいられないのである。
そんな彼女に、わたしは特別な生命力の強さを感じる。大げさかも知れない。そして、鍋のふたを開けるのは行儀が悪いと叱るべきことなのかもしれない。だがわたしは、彼女が鍋のふたを開ける姿を見るのが好きだ。強く生きていくんだろうなと、思えるからだろうか。

さて。鍋のなかには、今日は何が入っているのやら。

いつもこんな風に、たっぷり入っていればいいんですけれど。

空っぽの鍋3兄弟。アムウェイのクイーンクックを長く愛用しています。

白菜のクリーム煮が、美味しい季節になりましたねぇ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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