はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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階段を駆け上がっているうちは

飼い主である上の娘と、びっきーを病院に連れて行った。
右目の色が変わってきているのと、散歩の途中、歩かなくなることが増え、足も診てもらおうかということになったのだ。
13年と少し、びっきーの人生で、車に乗るのはまだ何度目か。それも、病院に行く時だけである。彼は少し不安げで「くう、くう」と微かな声を出し、何か訴えているようでもある。しかし車窓の風景を楽しんでいるようでもある。娘が後部座席で話しかけたり、頭をなでたりしている。20分ほどで病院に到着。娘が車から抱いて下ろすと、看護師の女性が「あらあら、びっきーちゃん。階段上れる?」と、びっきーに話しかけた。病院の入口の階段はなだらかなたったの2段。娘と苦笑する。我が家の玄関の階段は5段ほど。それを毎日駆け上がるびっきーなのだ。

犬の13歳という年齢は、微妙なお年頃なのだろう。歩けなくなる犬もいれば、若い頃と何ら変わりない犬もいるようだ。
確かにびっきーは、歳をとった。
知らない人や、他の犬に吠えかからなくなり、歩くのもゆっくりになった。「くう、くう」と鳴く声も微かな高音になった。黒かった顔もずいぶんと白くなり「歳とったねぇ」と会う人会う人に声をかけられるようになった。

病院では、右目は緑内障で、足は加齢とともに関節が動きにくくなっているだけだとの診断だった。目薬と、関節の潤滑油になる飲み薬を処方してもらった。体重もほとんど変わらず「食べるのは好きなのねぇ」と、看護師さんが安心したように笑った。
これからは、薬もびっきーの生活の一つに組み込まれるのかな。
しかし「まだまだ、元気ですよ」と言うかのように、家に帰ると、抱こうとする娘を上目使いに一瞥し、びっきーは軽々と車から飛び降りた。
だいじょうぶ、階段を駆け上がっているうちは心配ないと、石の階段を下りるびっきーの足元を見つめた。

車に乗るのは、久しぶりです。
姫がずっと、不安げな表情で見ていたんですけど、何か心配でも?

冬支度。新しい敷物を敷いてもらいました。うーん。温かいです。
右目がグリーンっぽく見えますが、これが緑内障だそうです。
痛くも痒くもないんです。目薬も、嫌ではありませんよ、ええ。

毎日、駆け上がる、玄関の階段。目をつぶっても上がれます。
何百回、いや何千回、上り下りしてると思ってるんですか?

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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