はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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匂いの記憶

たまに気分転換にお香を焚く。
お香には「香道」と呼ばれる作法やら何やらもあるらしいが、わたしは、ただ焚いて香りを楽しんでいる。香りを楽しむことは「聞香(もんこう)」香を聞くと言う。嗅ぐと言わないのは匂いに問いかけ、その答えを聞くという意味合いがあるそうだ。
確かにお香を焚くと、心がしんとする。気持ちが落ち着くことで、何かを問い答えを聞く空間が、そこに生まれるのかもしれない。
 
匂いの記憶がある。川崎に住んでいた頃、子ども達が通う幼稚園までの道程に沈丁花が咲く庭があった。まだ春と呼べない冷たい空気の中で咲く沈丁花の香りは強く、嗅ごうとしなくとも道行く人の中に入ってくる。
「あ、沈丁花咲いたんだ」大きく息を吸い込む。
3人の子育て中、忙しい母は、季節も何もかも忘れてしまうことが多く、毎年のように沈丁花に、もうすぐ春だよと教えてもらった。もうすぐだよ。だから、だいじょうぶ。そんな風に励ましてくれているようにも感じた。
まだ冬はこれからだが、お香を焚くと春を感じる。たぶんわたしの中の匂いの記憶が、沈丁花が咲くようにふわりと開くのだ。

葉っぱに乗ったテントウムシの香炉、とても気に入っています。
金属でできた双葉も春を呼んでくるようです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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