はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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面白きかな、人間

余韻に浸っている。宮部みゆきの最新三部作『ソロモンの偽証』(新潮社)を読み終えたばかりだ。
推理物だし法廷ドラマだが、その主役は中学生達。わたし的には、推理小説としての面白さよりも、中学生ひとりひとりの人物設定、心理描写に魅かれた。

大雪のクリスマスイブ、夜中に中学の屋上から落下し死亡した柏木卓也。幼い頃から病弱で死との親和性が高く、突き詰めて考えることに囚われた小さな仙人。彼の死は自殺だったのか。
告発状により殺人の容疑をかけられた、札付きのワル大出俊次。カツアゲ、暴力、いじめ。深く考えず行動し、結果多くの生徒を傷つけ嫌われてきた問題児。裁判の被告人席に彼が座る。
刑事の父を持つ優等生にして美形、常に自分に完璧さを求める藤野涼子。真実を知りたいという気持ちから学校内裁判を提案し、検事を務める。
当たり障りのない学校生活を望み、自分の力量を隠してきた野田健一。家庭内のある事件をきっかけに変わろうとしていた彼は、弁護人助手に名乗り出た。
学校外の柏木卓也の友人で、幼くして両親を亡くした神原和彦。目元の涼しい整った顔立ち、小柄で女子のように色白な彼は、第一印象にそぐわず堂々と弁護人を務める。
 
登場する大人達も、ダメダメなキャラばかりではない。むしろ魅力的な人物も多く、自分にできる最善を尽くそうとする姿も印象的だ。しかし子どもの可能性は計り知れない。そういう意味では大人に勝る魅力を持ち得る存在だ。読み終えた後は、成長した中学生達ひとりひとりが、その後どんな人生を歩んだのだろうと想像が膨らみ、わくわくした。今その余韻に浸っている。
面白きかな、人間。と、再確認した小説だった。
写真を撮るために、本棚の整理をしました。これって偽証? いや、偽装?
上の段はまだぐちゃぐちゃです。良心に従い真実のみを証言しています。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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