はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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叱られた夢

夫とふたり、初詣の帰り道、甲府まで買い物に出た。
その途中、車線変更に失敗しそうになり、ヒヤッとした場面があった。ドライバーはわたしだ。ドライブは好きだが自分の運転技術に自信がないわたしは、いつも注意しすぎるくらいに注意を重ねて運転している。それで事無きを得たというところはあるにしても、全く呆れる。いつまでたっても車線変更がうまくならない自分にだ。
 
初夢はぐっすり眠ったせいか覚えていないが、昔見た夢を思い出した。末娘が小学校高学年の時に担任してもらった先生に、わたしが叱られている夢だ。
「いいですか、お母さん。苦手なことから逃げていては、いつまでたっても苦手なままなんですよ」
勉強も遊びもいつも一所懸命で、子ども達を丸ごと包むような懐の大きさも持った彼は、子ども達に「マルちゃん」と、ちゃん付けで呼ばれていた。マルちゃんはわたしよりもずいぶん年下だったが、臆さず淡々とわたしを叱った。もちろん夢の中でだ。
「やらなければ、できるようにはならないんです。挑戦してみることで初めて克服できるんですよ」
わたしはうなだれ、はい、はいと話を聞いている。
「失敗したっていいじゃないですか。やってみましょう、車線変更」
しかし、マルちゃん。車線変更、失敗して事故ったら洒落になんないよ。そう思いつつも、わたしは目が覚めるまで、ただただ叱られ続けていた。
山梨に越してきて、春には13年になる。バイパスに出ない限りは車線変更の機会さえない田舎だが、それにしても呆れる。苦手な車線変更から逃げ続けている自分にだ。
 
子ども達には、苦手なことにも挑戦して欲しいと思ったりもする。やりもせずに苦手だからと遠ざけていては、体験できるはずの楽しいことも体験できず、人生もったいないんじゃないかとも思ったりもする。ところが自分はと言えば、この有様。子ども達にあれこれ言う資格など持ち合わせていないのだ。
「今年こそ、上手く車線変更できるように練習しようかな」
買ったばかりの朱色も鮮やかな交通安全のお守りを、フィットに乗せた。

お隣の韮崎市は武田八幡宮に初詣に行きました。
御神木と鳥居の向こうに見えるのは我が町の茅が岳です。

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