はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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素敵なラブ・ストーリーを読みました

衝動買いした本を、一気読みした。ぽろぽろと涙がこぼれ止まらなかった。
読んだのは、島本理生『よだかの片思い』(集英社)
顔のアザに悩み、自分は恋愛などできないと思っていたアイコは、24歳にして初恋をする。その恋心が、甘く切ない。
久しぶりに本を読んで思いっきり泣き、考えた。何故これほどまでに泣けるのだろうか。たぶん、と考える。アイコが恋だけじゃなく、生きていくことにがんばっている、自分を肯定しようとがんばっている姿が切なく、涙があふれてしまうのだと。
顔にアザを持って生まれたアイコの気持ちを理解できるとは思わないが、がんばってもがんばっても自分を肯定できなくなるような時が、わたしにもある。「どうせわたしなんか」と思わず生きていくことは、ことのほか難しいのだ。
しかし小難しいことはさて置き、素敵なラブ・ストーリーだった。

交差点の真ん中で、彼はいきなりこちらを振り返ると
「アイコさん、キャッチボールしよう」と言い出した。
あっけに取られているうちに、彼がコートのポケットからなにか白い包みを取り出した。夜空に揚げて長い右腕を振り上げると、月をめがけたように大きく柔らかなアーチを描きながら、白い包みが飛んできた。
私は両手を伸ばして、なんとかそれを受け取った。

アイコが恋した彼が、これまで彼女が持つことをしなかった手鏡をプレゼントするシーンだ。恋ってこんな風に始まるんだよなぁと、文章をたどりつつ、淡々(あわあわ)としたものが胸に広がっていった。

タイトルからも判るように宮沢賢治の『よだかの星』がキーとなっています。
カバー表紙を取ると、
よだかが飛んで行ったような夜の闇と星空が、隠されていました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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