はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
『ガーデン』
近藤史恵『ガーデン』(創元推理文庫)を、読んだ。
主人公は、二十歳を過ぎたふたりの女性。真波(まなみ)と火夜(かや)
生きることへの苛立ちは、純粋な若い心を容赦なく削り取り、痛みはやがて絶望へと変わり、ふたりを引き合わせる。赤髪の火夜は、大学に通う真波の部屋に居つき、蜜月とも呼べる静かな時間を過ごした後、何も言わず出て行った。
そして2週間後、真波のもとへと小箱が届く。そこには、切り取った小指が1本、入っていた。火夜と同じ鮮やかな珊瑚色のマニキュアを塗った、女の指だった。真波は、同じマンションに住む「今泉文吾探偵事務所」を訪ねる。
一方、真波から離れた火夜は、一丁の拳銃とともに、死をまとい、死を見つめ、生きていた。
章立てが、語り手別になっている。真波、火夜、今泉と、一度だけ諏訪。
以下、真波を思う「火夜の章」から。
わたしの刃は外へ向き、彼女の刃は内に向いていた。
たしかなのは、彼女がわたしのようにめちゃめちゃに破壊されてこなかった、ということだ。だから、わたしは彼女がうらやましかった。
でも、冷静に考えてみると、本当に彼女の方が恵まれていたのだろうか。
憎むものを持っているだけ、わたしのほうがましだったのかもしれない。
生きていると、不意に、底なし沼に足をとられそうになる瞬間がある。
そんな底なし沼を、あてもなくさまよう季節もある。
そんな季節を過ごした若い頃を、心痛く思い出しつつ、読み進めるうちに、大人と呼ばれるようになった今でも、いつ足もとがぬかるむか判らない危うさが、すぐ目の前にあるのではないかという思いに捉われていた。
殺人の舞台に選ばれたのは、誰もが息をのむほど美しい庭、ガーデン。
近藤史恵が20代半ばでかいたというこの小説には、若さゆえの揺らぎや、美しい物へのこだわりが散りばめられている。
「ガーデン」とは間違っても言えない我が家の「庭」で撮影しました。
主人公は、二十歳を過ぎたふたりの女性。真波(まなみ)と火夜(かや)
生きることへの苛立ちは、純粋な若い心を容赦なく削り取り、痛みはやがて絶望へと変わり、ふたりを引き合わせる。赤髪の火夜は、大学に通う真波の部屋に居つき、蜜月とも呼べる静かな時間を過ごした後、何も言わず出て行った。
そして2週間後、真波のもとへと小箱が届く。そこには、切り取った小指が1本、入っていた。火夜と同じ鮮やかな珊瑚色のマニキュアを塗った、女の指だった。真波は、同じマンションに住む「今泉文吾探偵事務所」を訪ねる。
一方、真波から離れた火夜は、一丁の拳銃とともに、死をまとい、死を見つめ、生きていた。
章立てが、語り手別になっている。真波、火夜、今泉と、一度だけ諏訪。
以下、真波を思う「火夜の章」から。
わたしの刃は外へ向き、彼女の刃は内に向いていた。
たしかなのは、彼女がわたしのようにめちゃめちゃに破壊されてこなかった、ということだ。だから、わたしは彼女がうらやましかった。
でも、冷静に考えてみると、本当に彼女の方が恵まれていたのだろうか。
憎むものを持っているだけ、わたしのほうがましだったのかもしれない。
生きていると、不意に、底なし沼に足をとられそうになる瞬間がある。
そんな底なし沼を、あてもなくさまよう季節もある。
そんな季節を過ごした若い頃を、心痛く思い出しつつ、読み進めるうちに、大人と呼ばれるようになった今でも、いつ足もとがぬかるむか判らない危うさが、すぐ目の前にあるのではないかという思いに捉われていた。
殺人の舞台に選ばれたのは、誰もが息をのむほど美しい庭、ガーデン。
近藤史恵が20代半ばでかいたというこの小説には、若さゆえの揺らぎや、美しい物へのこだわりが散りばめられている。
「ガーデン」とは間違っても言えない我が家の「庭」で撮影しました。
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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