はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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誰か、いる?

八ヶ岳から北風が吹き下ろすこの季節、強い風に家が揺れる。
「えっ? 地震? あれっ? えっ? なんだ、風かぁ」と、わたし。
小学生の頃から北風に揺れる2階の住人である上の娘は、一緒にいるリビングから自分の部屋を見上げることもなく「風だね」と答え、顔色一つ変えない。そして脅すように言うのだ。「それか、誰かいるのかも」と。

この土地に生えていた赤松を使い建てたこの家は、隣りの林の赤松と申し合わせたかの如く、しなり揺れる。隣の赤松は「キーッ、キーッ」と鳴くような声を出すが、木材となった赤松は、そんな風に素直な声では鳴かない。
カタッ。ことん。ミシッ。ずん。カーン。ぱん。タタタタタッ。ぱらぱらっ。
不思議な音で、鳴くのだ。
住んでみないと判らないだろうが、娘達も夫も言う。「誰か、いる」と。

節電のため、いちばん温かい2階の末娘の部屋で眠るようになり、風の音にも、その北風に揺さぶり起こされることにも慣れ始めた。
しかし、慣れないのは「誰か、いる」その気配だ。夫がいない夜、上の娘から遅くなるとメールがあり、ひとりベッドに入った。うとうとし始めた頃。玄関が開く音がし、鞄を置く音、ストーブに薪を入れる音、鍋を温める音がする。「ああ、娘が帰ってきたのだな」と夢うつつで眠りに入った。だが、夜中に目覚め、トイレに行き水を飲み、リビングや風呂場を見回し愕然とした。彼女はまだ、帰って来ていなかったのだ。
「誰!?」
それでもまだ、仕事部屋にいるかもしれないと、末娘の部屋から窓を覗くと、窓に髪の長い心細そうな顔をした女が映った。もちろん、自分自身である。
「やめた、やめた!」真冬に怪談は、似合わない。布団をかぶるのみ。
朝起きて、娘に話すと、彼女は不敵に「ふふふ」と笑った。

吹き抜けの上の天窓には、手が届きません。外からだと7m位あるかなぁ。
此処から入って来られるのは、シルクド・ソレイユのメンバーだけかも。
  
末娘の部屋の天窓も同様。南向きの天窓からは陽が射していました。

こんな風に、組み合わせた梁もあります。
  
また、何年か経ち木が動いて直した場所もあります。
建てた時に材木につけたマークが、そのまま見えるところも。
  
いちばん怪しいのは、屋根裏部屋? 煙突のなかも、怪しいかも。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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