はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
キンカンとムヒのみぞ知る
その溝は限りなく底深く、それはいつしか巨大な川となり、濁流が荒れ狂う。対岸へ行こうとも橋はなく、巨大な川は、メビウスの輪の如く永遠に交わることも、終わることもない。
夫と対立している。
ふたりの信念はどちらも曲がることなく、何処までも平行線をたどっていく。
「キンカンの方が、絶対効く」と、夫。
「だってもう、引っ掻いちゃったんだから、キンカン塗ったら痛いもん。ムヒ塗るからいい」と、わたし。
「その痛いのが、効くんだよ」
「キンカンを否定するわけじゃないけど、痛いから塗らない」
キンカンとムヒ。ふたりの対立は、続いている。しつこい痒みが残る虫に、ふたり仲良く足を刺されたのだ。多分庭でのことだろう。
夜中に痒みで目覚め、ムヒを塗ってベッドに戻った。
「何してたの?」と、夫。「ムヒ塗ってたんだよ」と、わたし。
すると彼は「ふん」と鼻で笑った。「なにその、ふんって」と、睨むわたし。
「キンカン、塗ればいいのに」「もうムヒ、塗っちゃったもん」
「ムヒの上に、キンカン塗ったっていいじゃん」
「混ぜるな危険!」「なにそれ」「洗剤によくかいてあるじゃん」
「薬と洗剤は違うでしょう。俺は、ムヒもキンカンも塗るもんね」
「何度も言うけど、キンカンを否定してるわけじゃないの。引っ掻いちゃったとこに塗ると痛いから嫌なの!」
夫婦の間をうねり狂う、キンカンとムヒの溝。その行方は、キンカンとムヒのみぞ知る。などとバカなことを言っている場合じゃなく、痒い。
顔を見合わせ、呆れているムヒとキンカン。
庭に勝手に咲いた百合。花も虫も、好き勝手やっている庭です。
夫と対立している。
ふたりの信念はどちらも曲がることなく、何処までも平行線をたどっていく。
「キンカンの方が、絶対効く」と、夫。
「だってもう、引っ掻いちゃったんだから、キンカン塗ったら痛いもん。ムヒ塗るからいい」と、わたし。
「その痛いのが、効くんだよ」
「キンカンを否定するわけじゃないけど、痛いから塗らない」
キンカンとムヒ。ふたりの対立は、続いている。しつこい痒みが残る虫に、ふたり仲良く足を刺されたのだ。多分庭でのことだろう。
夜中に痒みで目覚め、ムヒを塗ってベッドに戻った。
「何してたの?」と、夫。「ムヒ塗ってたんだよ」と、わたし。
すると彼は「ふん」と鼻で笑った。「なにその、ふんって」と、睨むわたし。
「キンカン、塗ればいいのに」「もうムヒ、塗っちゃったもん」
「ムヒの上に、キンカン塗ったっていいじゃん」
「混ぜるな危険!」「なにそれ」「洗剤によくかいてあるじゃん」
「薬と洗剤は違うでしょう。俺は、ムヒもキンカンも塗るもんね」
「何度も言うけど、キンカンを否定してるわけじゃないの。引っ掻いちゃったとこに塗ると痛いから嫌なの!」
夫婦の間をうねり狂う、キンカンとムヒの溝。その行方は、キンカンとムヒのみぞ知る。などとバカなことを言っている場合じゃなく、痒い。
顔を見合わせ、呆れているムヒとキンカン。
庭に勝手に咲いた百合。花も虫も、好き勝手やっている庭です。
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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