はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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桜色に染まった空白

空白とかくが、その色は空色とも白色ともつかない。多分多くの人がイメージする色は、無色透明なんじゃないだろうか。
もちろん、闇のような底のない黒だと思うこともあるかも知れないし、新しい画用紙の眩しい白を思い描くことも、宇宙の広がりを思い星の光を見出すこともあるかも知れない。
だが、わたしのなかの空白は、ドーナッツの穴の如く透明だ。

そんな30年もの空白を持ち寄り、中学時代の友人と再会した。
待ち合わせたのは品川駅で、30分ほど早く着き、ぶらりと散歩する。折しも桜の季節である。駅に戻ると、彼女はもう、待っていた。何年経っていても、おたがいに一目で判る不思議。
「ランチだけど、お酒好き?」と、彼女。「いいねぇ」と、わたし。
昼から飲める居酒屋で、生ビールで乾杯した。

共通の友人の話や、家族のこと、子ども達のこと、仕事のこと。30年ぶりとは思えないほど、ふたりとも、よく飲み、よく喋った。
空白が、心地よく埋まっていく。それはさっき眺めた桜の花が、胸のなかでぽつりぽつりと咲いていくかのようだった。
両親はずいぶんと歳はとったが、たがいに元気で、でも、自分だっていつどうなるか判らないよねぇなどと、胸の奥にある不安も口にしたりした。
「だからさ、毎日楽しく、生きていかなくちゃね」と、彼女。
「その通りだねぇ」と、わたし。
中学時代テニス部のキャプテンだった彼女は、やはり変わらず、静かに導いてくれるキャプテンのままだった。

品川駅前の桜です。もうすっかり葉桜。葉っぱの方が生き生きしています。

でも青い空の下、桜を眺めて歩くのは気持ちよかったです。

八重桜は、山桜とおなじく葉が伸びるのと一緒に咲くんですね。
まだ、蕾もたくさんありました。濃いピンクが可愛い ♪

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