はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ポケットに温もりを

「手が冷たい人は、心が温かく、逆に手が温かい人は、心が冷たい」
中学の頃、だろうか。誰かが言いだした。多分、根拠などない。
娘達の年代でも、知っている話なので、昔から変わらず言い伝えられているのだろう。都市伝説か、諺か。

わたしは東京出身だが、神戸出身の夫も、この伝説は知っていた。日本中くまなく広がっているのだろうか。
「何で、こんな風に言うようになったんだろうね」と、夫に言うと、
「女の子の手、握りたい男が、広めたに決まってるだろ」と、即答。
「どっちが、冷たいかな? 意外と、あったかいじゃん。心、冷たいんじゃねぇの?」と、まだテレが入った中学生男子が、女子の手を握りしめたいが故に、根も葉もない話を広めたという説だ。

だが調べてみると、出処は手相占いで、温かいはずの手に血液が回っていないのは、心臓に、つまりハートに、血液が集まっている。だから手が冷たい人は、ハートが温かいと言われるようになったのだという。

ところで、わたしの手はやたら温かく、冬の朝、車で駅まで送る時に、末娘はホッカイロのように、わたしの手で温まっていた。
彼女の手はひどくクールで、手袋をするのさえ無駄だと、あきらめていた。もともと冷たいものを覆ったところで、冷たいままの温度が保たれるだけだと言い、頑なに手袋をしなかった。末娘ほどではないにしろ家族の誰よりも、手が温かいわたし。
「クールなみずがめ座だけに、心もクールなのさ。雪の女王と、お呼び」
などと、いつもギャグにしてる。

だが「心が冷たい」という言葉から思うのは、人に対しての冷たさじゃなく、自分のなかで冷え切ってカチコチに凍り、ガラスのようにもろくなっているハートのような気がしてならない。
そんな時には、ポケットに入れる。誰かにもらった大切なもの。手紙。お守り。人形などのちょっとした小物。もらった言葉をメモにかいて入れることもある。そこには誰かの心の欠片が宇宙の如く大きく存在し、微熱を放っている。そして凍ったハートを、少しずつ解かしてくれるのだ。

小さなモノたちにも、微かな熱はあるものなのです。

山梨は明野町。ようやく桜が咲き始めました。

春の魔法は、手も心も何もかも、凍った部分を解かしてくれるようですね。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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