はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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凍った半月と朝陽とディズニーランド

夜明け前、凍った半月が空に浮かんでいた。
「手に取ったら、ぱりんと割れそうだな」
そんなことを考えつつ、フィットにエンジンをかける。夫を韮崎駅まで送る途中、陽が昇り始めた。半月は、ぱりんとは割れず、主役を太陽に譲った。雲達の演出で、いつになく神々しい日の出だ。
夫を送り出してから、フィットを駐車できるところに停め、写真を撮った。
「撮りたいものを中心に置くより、左右どっちかにずらして撮る方が、面白い写真が撮れるんだ」と、夫に教わったばかり。左に太陽を置いて撮ってみる。
ふと、背中に月の視線を感じるが、見当たらない。
「常に、すれ違いなんだな」などと、考える。
昼に、場違いですみませんって恐縮した感じで浮かぶ月も可愛いけれど、月はやはり夜空に似合う。そう言えば、夏目漱石は英語教師時代『I love you』を『月がきれいだね』と訳し生徒に教えたと言う。では漱石は、朝陽をどんな心持ちで眺めたのだろうか。

久しぶりに夫と、東京駅で待ち合わせた。彼の実家、神戸に帰省するためだ。今はケータイがあり、待ち合わせのすれ違いも、ほとんどない。その上、彼は待つのが苦手だし、わたしは待たせるのが苦手。太陽と月のように、性格はすれ違っているふたりだが、待ち合わせに関して言えば、相性抜群である。

新宿から乗った快速東京行は、車両すべてをディズニーキャラクターに乗っ取られたかのように、ディズニーランド祝30周年広告で埋め尽くされていた。
「30年かぁ」人並みに、開園した年に遊びに行ったっけ。
我々夫婦も先日、結婚して28年を過ぎた。兄と妹のように永遠に追いつくことのない年の差でディズニーランドを追いつつ、わたし達はわたし達なりに毎日を過ごして来たのだよなぁと考える。考え募れば、陽が昇ることも月が浮かぶことも、30年の時が過ぎていくことも、たいそう不思議なことに思えた。

韮崎駅近くで。あっという間に、陽は昇っていき……。

家に帰るともう、すっかり明るくなっていました。

ケータイで写真を撮っている人が、大勢いました。
ディズニーランド、30周年記念、おめでとうございます!
  
などと思いつつ神戸に着いたら、宝塚は100周年!
夫が生まれた頃に開業したという、阪急岡本駅前にある喫茶店
『ユニーク』は、変わらず営業していました。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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