はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
[602]  [601]  [600]  [599]  [598]  [597]  [596]  [595]  [594]  [593]  [592

時計さえも一秒を丁寧に刻む場所で

神戸は夫の実家で、一日ゆっくり両親と過ごし、夜、彼の高校時代からの友人がやっている『IVY Bar』に飲みに行った。

カウンターに座り、夫はスコッチをロックで、わたしは生ビールをオーダーした。疲れもあり、注文したものを入れる様子を、ただじっと眺めた。
生ビールは入れる前に、サーバーの泡を他のグラスに2、3度注ぎ、ビールの感じを確かめてから冷えたグラスに注ぎ始める。注いでいったんいっぱいになったグラスに、再び泡の具合を見ながらまた2、3度小さく注ぐ。それで完成かをプロのこだわりで確認し、ようやく出来上がりだ。
スコッチのロックは、シンプルなロックグラスに大きな四角い氷を二つ入れ、しばらく置いておき、慎重に氷をかき混ぜてから、きっちり水を切り、スコッチボトルを一度逆さにして均一に調えてから、計って注ぐ。
カウンターの向こう側では、一つ一つのことが丁寧極まりなく、行われていた。しかしもちろん、ここではそれが当然なのである。時計さえも一秒一秒丁寧に、時を刻んでいく場所なのだ。

冷蔵庫から缶ビールを出し、シュパッと開けて缶から飲み、グラスを冷やすこともせず、ロックグラスに氷を入れ、ただウィスキーを注ぐのみの、今の生活。ああ、わたしいったい、何やってるんだろうと思わずにはいられなかった。もっと、もっと丁寧に暮らせるのに。

2杯目に頼んだマティーニも、然りである。自分で作ろうと買ったベルガモットはまだ冷蔵庫にあるが、潔くあきらめた。
「だいたいマティーニなんて、こうやって出してもらって飲むものなんだよ」
夫の、言う通りである。マティーニは、オリーブもしっかり食べ、最後の一滴まで美味しく飲んだ。そして時計は、何処でもない『IVY Bar』のペースで、丁寧に丁寧に、時を刻んでいった。

三ノ宮駅北側にある『IVY Bar』入口。

生ビールの泡が、きめ細やかでこんもり。嬉しい!
  
マティーニのオリーブには、神戸らしい風見鶏のピックが。

拍手

10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
Template by repe