はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『半袖半ズボン少年』のこだわりが溶けた瞬間

息子は、小学校卒業まで『半袖半ズボン少年』だった。もちろん、薄着が丈夫な身体を作るなどと、母親であるわたしが推奨した訳ではない。妹達は、冬にはセーターやコートを着て、雪が降れば手袋だって喜んでしていた。

彼のこだわりのなかに見て取れるものは、決めてしまえば楽だという思いだ。常に何枚かあるTシャツと半ズボンを使いまわすのみで、何を着ようかと考えずに済む。確かに楽ちんである。周囲も、彼が1年生の頃から変わらず通しているポリシーだと自然と納得していて、何を言われることもない。逆に、突然セーターなど着ようものなら、友人達の驚きとリアクションへの対応に丸1日費やすことになるだろうとも、容易に推測できる。それでも、寒い時には温かい服を着たいと思うのが、自然である。
まあそれも、中学で学ランを着るようになるまでだったが、中学に通う時にも忘れ物をしないようにと時間割を揃えるのが面倒で、徒歩50分の道程を、全科目の教科書とノートを入れた鞄を背負って歩いていたのだから、その面倒くさがりでストイックとも思える性格に変わりはなかったのかもしれないが。

さて。その中学の頃の話。彼の私服は冬でもやはり半袖半ズボンだった。その彼がパーカーなどを着てジーンズを履くきっかけとなったのは、ふと思い出したようにたまに聞かされる親の小言ではなく、真冬に路線バスで出かけた時の出来事だった。本屋に行こうと、明るい時間に出掛けた時には、まだ太陽の陽射しがあったが、帰る頃には雪が舞い、真っ暗になっていた。そこで同じバス停で降りた高校生男子に、呼び止められたという。
「ちょっとだけ、待ってて」
彼は、急いで自動販売機にコインを入れ、温かい紅茶を買い、息子に手渡してくれたそうだ。余りに寒そうで、見ていられなかったのだろう。
「自分の季節外れの格好が、人に迷惑をかけることもあるって判った」
缶紅茶の温かさと、人の温かさに触れ、息子のこだわりはようやく溶けた。親がいくら言っても聞く耳持たなかったのに、である。
昨日、小雪舞うバス停を通り過ぎ、そんなことをふと思い出した。

最寄り『浅尾新田』のバス停まで、我が家から、行きは下り坂。
ジェットコースターかスキー場か、というほど急な坂です。
そして帰りは上り坂。最寄りの(?)自動販売機も此処です。

韮崎から走って来て、この木を見ると帰ってきたなと思います。
絵本『モチモチの木』の切り絵を連想してしまう、怪しげな雰囲気。
  
韮崎行きが1日6本、折り返しは5本。〇印は土日運休。
この本数に、びっくりですが、なくなると困る人もたくさんいるはず。
田舎ならではなのは、バス停以外でも乗り降り出来ることと、
標識ポールが停留所に1つしか無い(反対車線に無い)ことです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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