はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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夫はルンちゃんに夢中

「ルンちゃん、こっちこっち」
夫が、ルンちゃんを呼んでいる。とても楽しそうだ。わたしはそれを傍観しているが、夫はわたしに見せたがる。
「ほら、見て見て。ルンちゃん、すごいんだよ」
「ふうん」
わたしは、何故だか気持ち穏やかではない。
「ほら、こんなところにも入れるんだよ」
「すごいね」
わたしのそっけない返事にかまわず、夫は、しみじみと言う。
「いやー、ロボットが可愛いっていう気持ち、判るよねえ、ほんと」

お掃除ロボットルンバが、我が家にやって来た。
夫は彼を「ルンちゃん」と呼び、可愛がっている。わたしは傍観者のスタンスを崩さず、ただ観察する。何故こんなにも気持ちが乱れているのか。それは、掃除が苦手な女オリンピックメダリスト有力候補とうたわれた(?)わたしであるからに他ならない。とは言え「掃除なんかしちゃってさあ」と舌打ちしたくなるのは、すでに彼を生き物として認めている証拠でもある。何しろその存在感、ただならないモノがある。今にもしゃべりだしそうで、怖い。それでつい、つんつんしたり、通せんぼしたりしたくなってしまう。

ルンバを可愛がる人は、けっこう多いらしい。部屋から出てしまうと「脱走した」とか、何処かに入り込んで見当たらなくなると「かくれんぼしてる」とか、そういう表現はもう一般的。壊れたときに「修理してください」じゃなく「可哀想だから早く直してあげて」と言う人もいるそうな。
そう考えると、夫の反応はまんざら可笑しい訳ではないのかも知れない。

「ルンちゃん、可愛がってね。いじわるしないでね」
夫は、心配そうに出かけていった。わたしは、返事をしなかった。ちょっと苦手なルンバとの共同生活は、始まったばかりだ。

ルンちゃんです。よろしくね。ママは、ルンって呼んでるよ。

がんばってお掃除します。いくぞー! ルンルン。

「ドッグ」ボタンを押すと、充電器ドックに戻ります。
やれやれ、一休み。明日もまた、がんばルンバ!

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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