はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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黒澤に会いに

ファンクラブ(在籍2名)の仲間から伊坂情報を得た。
「アンソロに、黒澤が出ているらしいよ」
「え、そうなの? それって」
そこで、ハモった。
「最後の恋!」
『最後の恋』(新潮社)女性版アンソロジーは、三浦しをんの「春太の恋」がとても好きで、何度も読み返した。
本屋で見かけ、男性版が出ていることも伊坂がかいていることも知っていたが、まあ、いつか図書館で借りて読もうっと、くらいに考えていた。
でも、黒澤が出ている。
「それは、買いでしょう」
わたしの言葉に、彼女はうなずく。
「買いだね」
そして、本屋で買った帰りに彼女の部屋に寄った。
「買ったよ」
という、私の手から『最後の恋』を奪い、
「ありがとう」
と、彼女は言った。
「読み終わったら、貸してあげるよ」
彼女は学生で、わたしは在宅勤務会社員だ。それゆえ、わたしが買った伊坂の本は、彼女の部屋の本棚に並ぶことになっている。
あいうえお順にきちんと並んだ彼女の本棚。
彼女の本に対する想いは、並大抵のものではない。借りると緊張する。本を汚さない。本に折り目をつけない。日焼けさせてもいけない。もちろんビールをこぼしてはならない。
そして栞を挟んでいる位置を動かしてはならない。好きなシーンに、栞を挟んでいるのだ。
「付箋はっとけば?」
と言ったわたしに、彼女は軽蔑するように言った。
「本に付箋を貼るっていう感覚が信じられない」
 
『最後の恋』に入った「僕の舟」の黒澤はところどころに黒澤らしさが散りばめられていて、うれしくなった。間食はしないというところを読み、『ポテチ』とまったく同じエピソードであることに微笑む。
伊坂幸太郎の小説の、あちこちに出てくる愛すべき泥棒、黒澤。彼は、伊坂ワールドのどこにでもいる。巨匠黒澤明監督から、名前をもらったらしいが、ファーストネームは持たない。
『ポテチ』では主要登場人物で、大森南朋が演じていた。
 
「仙台に行こうか……、黒澤に会いに」
伊坂幸太郎の小説の舞台。映画の撮影場所。バックグラウンド。
ファンクラブでは、そんな話が持ち上がっている。


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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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