はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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食の記憶の不思議

「夕飯リクエストある?」休日は、よく夫に聞く。
これが食べたいと言ってもらった方が、作り甲斐もあるし外れも少ない。しかし食べる段になって「あ、これ昨日食べたんだった」と、夫が言うこともよくある。食の記憶というのだろうか。最近食べたものが頭の片隅にあり、それを食べたいと思ってしまうのだが、食べる段になって我に返る。昨日食べたじゃないかと。
このあいだ、山盛りのコールスローサラダを作った。キャベツは半分使った。それをふたりして食べきってしまった。なのに、翌日夫に聞くと、キャベツのサラダが食べたいと言う。
「夕べ食べたでしょ?」と言っても「キャベツが食べたい」と言うばかり。
何度か繰り返し説得する。そして彼は、ようやく山ほどのキャベツを食べたことを思い出した。そして夕飯のカレーに添えられたサラダは、レタス。シーザーサラダを平和に美味しく食べたのだった。

で、わたしの記憶には、色濃くトマトラーメンがあった。誕生日にひとり食べたトマトラーメン。
娘の私立受験の前日は、コンビニ夕飯のホテル泊まりだった。そこでわたしが買って来たのは、はるさめパスタ・トマトクリーム味。
「あれ? 何処かで食べた味?」「トマトラーメンだよ!」
娘とは別部屋で、シングル。ボケもツッコミも、ひとり演じる他なかった。
食の記憶の不思議。しかしインスタントのはるさめパスタは、想像を遥かに超える美味さだった。

ひとりなので、聞いてくれる相手もなく、静かに意味もなく歌いました。
「春雨さんから、お手紙着いた。春雨さんたら、読まずに食べた。
しーかたがないのでお手紙かーいた。さっきのトマトのご用事なあに?」

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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