はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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ストレス解消法は、何ですか?

幼稚園の保護者会での出来事だったと、記憶しているから、15年以上前、川崎に住んでいた頃のことだと思う。
自己紹介と言っても、名前を言って頭を下げるだけじゃつまらないと役員さんが企画したのだろう。自分と子どもの名前を言った後、配られた紙にかかれた質問を読み上げ、それに答えるという遊び的要素が取り入れられていた。
場は和み、企画は成功を収めた。だが、わたしの記憶に残っているのは、ある質問と、その答えだけだ。

「あなたのストレス解消法は?」「ほうれん草を、湯がくことです」
一瞬そこで沈黙が広がったが、司会者が次に進めたので、つつがなく全員の自己紹介は終わった。
入園してすぐ、知らない人だらけの会だった。
「どうして、ほうれん草を湯がくことが、ストレス解消になるの?」
気軽に聞ける雰囲気ではなかった。そして、その疑問だけが、15年の時を経ていまだ解消することなく、わたしのなかに残ることとなった。今では不思議なことに「ほうれん草」=「なんとなく、気持ちが明るくなる」という方程式が、自分のなかに確立している。もし疑問をぶつけ、その場で答えを聞いていたら、もうすっかり忘れ去っているかも知れない。そう思うと、日々ぼろぼろと落とし続けている記憶のなか、何が残されるのかなど、判らないものだ。

「花が咲いちゃって、困ってるのよ」
家庭菜園をしているご近所さんに、ほうれん草を持っていってと頼まれた。もちろん、喜んでいただいた。
ひとりの夜に缶ビールを空けながら、ほうれん草を湯がいた。新鮮だし、生でも食べられるが、なにしろ「湯がく」という行為が大切だ。
1分も経たずとも、緑が濃くなり、すぐザルにあげる。水で洗って、きゅっと絞る。一連の作業をしつつ、ほうれん草って、小松菜とも春菊とも、全く違うなぁと、当たり前のことに感心した。濃い緑の綺麗な色も、きゅっと絞った手触りも、食べるだけでは感じ得ないほうれん草を、感じることができた。
そして今なら思える。こうして野菜と向き合う時間に、ふっと気持ちの和らぎを感じたんだろうなぁと。
今では顔も名前も覚えていない彼女だが、おない年の子どもが巣立った今、こんな風にひとりの夜にゆったりと、ほうれん草を湯がいているのだろうかと、考えてみたりする。いや、今はもう、ストレスもなく暮らしているのだろうか。いやいや。ストレスがなくなるなど、生きていればある訳もないか。
あなたのストレス解消法は、何ですか?

ほうれん草の他にも、いろいろいただきました。野菜って綺麗だなぁ。

スタンダードなのはお浸しですかね。柚子ポンで、さっぱりと。

昨日の朝食です。ほうれん草はバター炒めにしました。
緑の野菜をたっぷり食べると、健康になった気がします。
濃く淹れたお茶は『ふるさと万年茶』です。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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