はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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パプリカ、ワイン、泣き上戸?

『おうちで、ワイン』の夜が多くなり、パプリカが、食卓によく登場するようになった。焼いてよし、生でよし。色味が綺麗だから、料理も華やいだ雰囲気になる。さっぱりしていて、こってり系の料理と合わせると、酒も進む。何もない時には、オリーブオイルと塩胡椒、バルサミコ酢をかければ、パプリカだけで、じゅうぶん美味しい肴になる。なので、最近は常備し、重宝している。だがその味は、わたしのなかでは、ちょっと切ない。

パプリカで思い出す、小説のワンシーンがある。川上弘美の連作短編集『神様』(中公文庫)に収められた『草上の昼食』だ。以下、本文から。

ワインは飲まないの、と聞くと「酒はたしなみません、おつきあいできなくて申し訳ない」と答えた。くまの白湯のコップとわたしのワインのコップを打ち合わせ、食事を始めた。最初わたしもくまも黙りがちだったが、くまが料理の作り方を説明しはじめたころから、次第に口がほぐれてきた。
赤ピーマンが甘いね。「薄皮を剥くのが少しむつかしいでした」
どうやって剥くの。「オーブンで十分ほど焼いて、それからすぐに紙袋に入れて蒸らします」なるほど。「うまく蒸れるとするする剥けます」
気持ちよさそう。「気持ちいいです」お料理はどこで。「自己流です」
上手。「今まで何でも自己流でしたから。学校に入るのも難しいですし」
ああ。くまであるのならなるほど学校には入りにくかったかもしれない。学校ばかりではない、難儀なことは多かろう。

同じマンションに越して来た、雄の成熟した熊と、生きにくさを抱えて生きている主人公、わたしを描いた、連作短編のなかでもキーになるストーリーだ。
熊は親しくなったわたしに、別れの挨拶を言うため、手をかけた弁当を作りピクニックに誘ったのだった。「結局馴染みきれなかったんでしょう」と言う熊に「わたしも馴染まないところがある」と、口にせずただただ思うわたし。「おなじく、わたしも馴染まないところがある」と、何度読んでも切なくなる。それで多分パプリカには、切ないスパイスが効いてしまっているのだ。
ん!? いーや、案外パプリカが美味しくて、ただワインが過ぎるせいなのかも。パプリカ、ワイン、泣き上戸? うーん。真実は霧のなかだな。

冷蔵庫にあるものを、オリーブオイルで炒めて塩胡椒するだけで、美味しい!
お好みで、バルサミコ酢をかけても。

チキンとしめじのグラタンにも、色取りに。焼く前にのせるだけ。

簡単おつまみ、ワイン用。バルサミコ酢の代わりにレモンでもOK!
庭のイタリアンパセリは、日々活躍中。伸びすぎたアスパラも。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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