はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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小さな小さな、小さなことだよ

軽く嫉妬を、覚えていた。
春の足音が聞こえ始めてからというもの、facebook に写真をアップしているお友達も多く、それが羨ましかった。
どうしてわたしの前には、姿を現さないのか。先週からずっと、探していたのに、一匹たりとも姿を見せない。ここには、森も林も田んぼも畑も、いっぱいあるのに。最寄り駅は無人駅だし、フジテレビだって映らないほどの田舎だっていうのに。確かに東京と比べれば、寒い。まだ冬眠のなかに、居るのかも知れない。それにしたって寝坊しすぎじゃないか? もうすっかり春なのだ。

しかし、探し物は往々にして、探すことを忘れた頃に見つかるものである。
道作りの朝だった。田舎なので、道作りというGW恒例の行事がある。道に張り出した木を切り、草取りをし、落ち葉を掃いたりして、それこそ道を作るのだ。わたしは腰痛で、あまり役には立てないと知りつつも、竹箒を持って参加した。ご近所も若手女性選手がスコップで固まった落ち葉を削り、わたしが掃く、の繰り返し作業。その作業も終わり、立ち話に花を咲かせていると。
「あ、何か、動いた」と、彼女。「蛙だ!」と、わたし。
小さな緑色のアマガエルだった。ようやく会えた、この春いちばんの蛙くん。だが当然ながら、カメラは持っていない。解散する頃には、初蛙くんは、何処かへ行ってしまっていた。がっくりである。

ところが、そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、家に帰ると、薄茶のまだらな蛙くんが待っていてくれた。小さな身体で、古びた青いホースの上に座っている。蛙くんは、わたしの嬉々とした顔を見て、くすりと笑った。
「僕との出会いなど、小さな小さな、小さなことだよ」
本当に、なんて小さなことで、一喜一憂していたのだろう。
「小さな小さな、小さなことだね」わたしも、答える。
庭を見回すと、小さなもの達がいつになく、くっきり見えてきた。
タンポポの綿毛の一粒。カタバミの黄色い花。カラスノエンドウの濃い紫。もみじにぶら下がった、咲いていることさえ見逃してしまいそうな花。
「でもさ。小さな小さな、小さなことが、わたしには大切なんだよ」
わたしの言葉に、蛙くんは、うなずこうか迷っているようだった。これから、蛙くん達の季節は始まる。

この子も、落ち葉のなかで見つけた緑色の蛙くんとおなじく、
アマガエルなんですね。様々、色を変えて生きていくんだよなぁ。

タンポポの綿毛って、よーく見るとキラキラ光って、綺麗ですね。

黄色い花って、可愛くて大好きです。草取りするのが可哀そうだけど、
すぐに、そうも言っていられないほど、あちこちに伸びてきます。

カラスノエンドウ。子ども達が小さい頃、よく天麩羅にしたなぁ。

もみじの花なんて、今まで気づきませんでした。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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