はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『僕らのごはんは明日で待ってる』

瀬尾まいこの恋愛小説を、とても久しぶりに読んだ。ちょっと不思議なタイトルの『僕らのごはんは明日で待ってる』(幻冬舎文庫)だ。
17歳の兄を病気で亡くした葉山亮太(仇名はイエス)は、落ち込んだまま人と関わろうとせずに十代を過ごしていた。そこに現れたのが同級生、上村小春。紆余曲折の末、結婚した二人を待ち受けていたのは小春の病気だった。
以下本文から。

「いろんなこと話してみればよかったのに」
小春はほんの少し顔を上げた。
「そうだよなあ。だけど、いつ何が兄貴の痛みを呼びおこしてしまうかわからなかったし。もし言葉がうまく響かないで兄貴をぐらつかせてしまったらと思うと、不安だった。本当はもっと言いたいことも話すべきこともあったのにな。まあ、今こんなこと言ってもどうしようもないんだけど」
「ちょっと、悲しいこと言わないでよ」「そうだな」
「そうだなって、イエスのせいですごく重い雰囲気になっちゃったじゃない」
小春は両手で涙をぬぐった。たぶんこういうところが小春のいいところなんだと思う。
「だからさ、小春には思いついたことは口にしてみる。もし、それがうまく伝わらなくて傷つけたりしても、俺、悪気はないから。どんな言葉でも、小春のこと考えてかけてる言葉だから。それは知っておいて」
「何、そのずるいルールは」「便利だろ?」
「じゃあ私も。たぶんこれからひどいことたくさん言うけどそれって病気のせいだから。本当は私はちゃんとイエスのこと愛してて、すごくいい人だから」
小春は目を赤くしたままで笑った。

二人の恋は、マック&ケンタッキーから始まり、ガストor ココスを経て、小さなテーブルの食卓へと移行していく。
ご飯を、一緒に食べる。昨日も一緒に食べたし、今日も一緒に食べた。そして明日も、たぶん一緒に食べるだろう。そんな「ご飯を食べる」ことって、じつは甘い言葉やキラキラ光るエンゲージリングなどよりも、恋する二人にとってもっともっと大切なことなのかも知れない。

来春、映画『僕らのごはんは明日で待ってる』公開予定だそうです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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