はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
飛べ! ヤマガラ
今まさに、珈琲を飲もうかというその時だった。
こつん、と音がして、窓に何かが当たった。野鳥だとすぐにわかる。わたしは夫とふたり外に出て、ぶつかった鳥が落ちていないか探した。
いた。ヤマガラだ。オレンジのエプロンが特徴的で、夫が庭に撒く向日葵の種を食べに、いつもやってくる可愛いやつ。
首を少し傾げている。首の骨が折れていたらアウトだ。ヤマガラは、ゆっくりと何度も瞬きを繰り返している。脳震とうを起こしているらしい。羽根は右翼が開いたまま。着地するどころではなかったようだ。
「瞬き、してるね」と、わたし。「うん。首、どうかな」と、夫。
するとヤマガラは、確かめるようにそっと首をまっすぐにした。
「折れてないね」「うん。よかった」
空はよく晴れていて風もなく、冬の日差しがやわらかい。
ヤマガラは、また確かめるようにそっと右翼を閉じた。
「……だいじょうぶだ。飛べ! ヤマガラ」
わたしは声をかけた。しかしヤマガラは動かない。わたし達は、リビングで珈琲(グァテマラの中煎り)が冷めていくことも忘れ、ヤマガラと一緒にいた。しばらくして、夫が言った。
「飛べないんじゃないの? こいつ」
その瞬間、ヤマガラは飛んだ。ふたりヤマガラを目で追いつつ歓声を上げる。
「今の聞いてたんじゃない?」「飛べるさ! って言ったみたいだったな」
ヤマガラは、くぬぎの木の枝にとまり、もう一度羽根を確かめるようにして何度か小さく広げ、それから空に飛んで行った。
「あれじゃ、ぶつかってもしょうがないな」
夫が一緒に立っている庭の一段下がった場所から、リビングの窓を見上げた。見上げると、窓には隣の林が映っている。林の木々の間には空が広がっている。ヤマガラは、そこへ飛んで行こうとしたのだ。
「鳥避けのフクロウシール、窓に貼るか」「うん。必要だね」
わたし達は、やれやれとリビングに戻り、珈琲を飲んだ。
珈琲もう熱くはなかったが、ヤマガラの小さな命に触れた時間のおかげで、冬の日差しのようにホットでマイルドでとても美味しく感じた。
近づいて見ると、意外とぽてっとしていました。
いつも見ている颯爽と飛び回るヤマガラとは、ふんいきが違っています。
夫が撮ったカメラ目線のヤマガラ。So cute!
こつん、と音がして、窓に何かが当たった。野鳥だとすぐにわかる。わたしは夫とふたり外に出て、ぶつかった鳥が落ちていないか探した。
いた。ヤマガラだ。オレンジのエプロンが特徴的で、夫が庭に撒く向日葵の種を食べに、いつもやってくる可愛いやつ。
首を少し傾げている。首の骨が折れていたらアウトだ。ヤマガラは、ゆっくりと何度も瞬きを繰り返している。脳震とうを起こしているらしい。羽根は右翼が開いたまま。着地するどころではなかったようだ。
「瞬き、してるね」と、わたし。「うん。首、どうかな」と、夫。
するとヤマガラは、確かめるようにそっと首をまっすぐにした。
「折れてないね」「うん。よかった」
空はよく晴れていて風もなく、冬の日差しがやわらかい。
ヤマガラは、また確かめるようにそっと右翼を閉じた。
「……だいじょうぶだ。飛べ! ヤマガラ」
わたしは声をかけた。しかしヤマガラは動かない。わたし達は、リビングで珈琲(グァテマラの中煎り)が冷めていくことも忘れ、ヤマガラと一緒にいた。しばらくして、夫が言った。
「飛べないんじゃないの? こいつ」
その瞬間、ヤマガラは飛んだ。ふたりヤマガラを目で追いつつ歓声を上げる。
「今の聞いてたんじゃない?」「飛べるさ! って言ったみたいだったな」
ヤマガラは、くぬぎの木の枝にとまり、もう一度羽根を確かめるようにして何度か小さく広げ、それから空に飛んで行った。
「あれじゃ、ぶつかってもしょうがないな」
夫が一緒に立っている庭の一段下がった場所から、リビングの窓を見上げた。見上げると、窓には隣の林が映っている。林の木々の間には空が広がっている。ヤマガラは、そこへ飛んで行こうとしたのだ。
「鳥避けのフクロウシール、窓に貼るか」「うん。必要だね」
わたし達は、やれやれとリビングに戻り、珈琲を飲んだ。
珈琲もう熱くはなかったが、ヤマガラの小さな命に触れた時間のおかげで、冬の日差しのようにホットでマイルドでとても美味しく感じた。
近づいて見ると、意外とぽてっとしていました。
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夫が撮ったカメラ目線のヤマガラ。So cute!
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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