はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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いつものペースで、いつもの道を

散歩拒否だ。びっきーが小屋から出て来ないのだ。狐のように丸まり、尻尾に顔を埋めている。
「びっきー、散歩行こうよ」
声をかけると、怠そうに顔を上げるが、動こうとはしない。いつもは声などかけずとも、「わおっ、散歩ですか? 散歩ですよね、GO!」といったフットワークの軽さで飛び出して、それでまあ、わたしの左手の甲には骨折した骨を留めるチタンのネジが2本入っている訳なんだけれども。
「どうしても、行きます?」と言うようにのろのろと小屋から出て「嫌だなぁ」と恨めしそうに振り返りつつ、それでも何とか散歩に出かけた。しかし、すぐにびっきーは立ち止まった。歩きたくないのだとわかる。
「わかった。帰ろう」わたしの言葉に着いてくるも、短い距離を立ち止まりつつ、時間をかけ、何とか縮めていく。
ご飯をあげると吐き、下痢もした。
「明日、病院に連れて行った方がいいな」と夫。
「うん。今の状態が明日も続くようなら、そうする」と、わたし。
満月の夜、何度となく目覚め、夢を大量に見ながら、寝汗をかき朝を迎えた。
「おはよう。びっきー」
しかし翌日は、元気に散歩に出かけた。いつものペースでいつもの道を歩く。枯れた笹の匂いを十分に確かめ、考え、思い巡らすびっきー。急かすことなく、びっきーの調子に合わせ、それでもタイムログはそんなになかった。
いつものペースで、いつもの道を。それがどんなに大切なことなのか考えつつ、わたしは歩く。びっきーは、何を思っているのやらだが。

僕だって、ご飯を食べたくない時も、散歩に行きたくない時も、ありますよ。
これでも日々、懸命に生きているんですから。それをすぐに病院って。
だいたい、おかーさん、僕が小屋で丸まっているからと言って「狐くん」と呼ぶのは止めてください。ビキオとかビキスケとか呼ぶのも。失礼極まりない。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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