はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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95%の嘘と、大賀蓮

鵜呑みにしがちな性質(たち)である。
一緒にテレビを観ていて、よく夫が言う。
「あ、○○さんだ! わぁ、今こんなことやってるんだ」
たとえば彼の出身地、神戸の人だったり、彼がいまだ続けているサッカー関連の人だったり、仕事関係で如何にも知り合いそうな人だったり。
「へぇ、知り合いなんだ?」その度に、わたしは感心し、声を上げる。
だが、彼の次の言葉は「そんな訳ないじゃん」または「うそー」が95%。他愛もない嘘なのだ。95%というところに無意識下ではあっても彼の計算が伺える。本当を混ぜることで、妻を騙すことを楽しんでいる。それもこれも、わたしの鵜呑みにしがちな性格が深く関係しているように思えるから腹が立つ。

昨日、夫を駅まで送った帰り。回り道して蓮池に行った。
午前7時過ぎ。客人のいない蓮池は、しんと静まり返っていて花が咲く音が聞こえそうなほどだ。だが、花の咲く音は聞こえない。
花が咲く時に音がするとは、昔から言われていたそうだ。本当に音がするのか調べてみると、蓮池には鯉が跳ねる音や波立つ音などしか録音されなかったという。それを調べてみた人が、この大賀蓮(おおがはす)と呼ばれるピンクの大輪の蓮を、弥生時代の種から再生させた植物研究者、大賀一郎さんだ。
言い伝えられたことを鵜呑みにするのではなく、真実を知ろうとするのが、彼の科学者としてのやり方だった。

だが判ってはいても、わたしは鵜呑みにしがちな性質である。
「今度、飲みに行こうね!」とは、額面通りの言葉ではないことも多いと知ってはいるが「行こう行こう!」とその気になり、飲み会を企画したりもする。額面通りではない言葉が、苦手なのだ。
ひっそりとした朝、大賀蓮をひとり静かに眺めても、人の性質というものは、そう簡単には変わってくれそうもないと、蓮のピンクに、葉の緑に思う。人の心の真実は、科学では量れないところにあるのだ。

春まで末娘を毎日送っていた無人駅、中央線穴山近くにある蓮池。
池は4つあります。春には桜。梅雨時には紫陽花が楽しめるところです。

池の泥が汚ければ汚いほど、きれいな花が咲くとか。
日の出前に花開くという蓮。朝、涼しいうちしか観られないようです。

蓮が散った後は、まさに蓮根の趣。植物の不思議を感じます。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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