はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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梅雨の晴れ間に

梅雨の晴れ間の空を、見上げた。
いつ降り出すか判らない雨。そして降り出せば、いつやむのか判らない。
専門家でさえ、梅雨明けはいつと断定できないあいまいさに、自然の測り知れなさを感じる。それでも植物達は、それを受け入れ、花を咲かせている。
そうして受け入れざるを得ないことが、人にだって生きていれば多いけれど、植物と違うところは、人にはプラスにしろ、マイナスにしろ、行動を起こすことができるということだ。

曖昧模糊な梅雨空を見ていると、何も考えず、ただそこにあるものを受け入れてしまいがちな自分にたどりつく。そして、自ら受け入れたものでいっぱいいっぱいになり、やがては身動きがとれなくなる自分に。

江國香織の『ぼくの小鳥ちゃん』(あかね書房)に、こんな文がある。
ときにふと思い出す一節で、気が優しいだけのような主人公「ぼく」が、じつは懐の大きな人間だと読み取れるシーンだ。

「一羽の小鳥として、私ががまんならないとおもうあなたの欠点を教えてあげましょうか」
いつだったか、そう言われたことがある。昔ここにいた、ある日いきなりやってきて、やがていきなりいなくなってしまった、こげ茶色の小鳥ちゃんにだ。
「欠点?」
ぼくは訊き返した。夏で、ぼくたちは窓をあけた部屋のなかにいた。
「あなたはうけいれすぎるのよ」
小鳥ちゃんはぼくの目をみずにそう言った。
「いけないことかな」
「ときどきとても淋しくなるの」
小鳥ちゃんは顔をあげてぼくをみた。切るようにかなしい目をしていた。

空を見上げて思うことは、人それぞれ違う。そして同じはずの自分でも、そのときの心持でずいぶんと違っている。

庭の姫シャラ。立ち姿がとても綺麗な木です。梅雨の晴れ間の空と。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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