はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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新しい街燈

「あ、対向車!」夫と、声を合わせてしまった。
夜、駅まで夫を迎えに行った帰り道、カーブミラーにライトが映ったのだ。
だが、ブレーキを踏んでも、一向にすれ違う様子はない。
「あれ?」「来ないじゃん」
肩透かしを食らい、狐にでもつままれたような気分になった。

我が家は標高600メートルほどの場所にあり、町内を横切る村道から、くねくねとした坂道をのぼる。その道は細く、車ですれ違える場所も限られていて「大曲がり」と呼んでいるヘアピンカーブもある。だからそこを走るときにはカーブミラーに注意を払い、常に対向車に気をつけなければならないのだ。

「街燈だ」夫が灯りを見上げた。
「とうとう、ついたんだ」対向車ではなく、街燈の灯りだった。
しかし、わたしの言った「とうとう」には、プラスとマイナス両方の気持ちが含まれていた。
村道からの道は、夜、歩いてのぼると真っ暗で、人家もなく、歩く人も、学校に通う子ども達くらいしかいない。悪意の人による事件などは起こったことはないが、ここを娘達が歩くのが心配で、暗くなるときには迎えに行っていた。子ども達は、熊鈴を鳴らしながら歩いているが、動物も怖い。ここは人が通る道だよと、動物達に教えることも大切かも知れない。

だけど、またこれでいくつかの星が見えなくなったんだろうな、と思わずにはいられなかった。空の都合によっては天の川が肉眼で見える土地なのである。
「街燈が放つ光は、何処まで行くんだろう」
節電はこれ以上は難しいというくらいしているつもりだけれど、我が家から放つ光も抑えてみようかなと思った出来事だった。

大曲がりのカーブの先にあるミラー。映る道も曲がっています。

お隣りには、お化けのような木が。というより指揮者みたい?

こちらが、新しく設置された街燈です。蔓達は、古きも新しきも
隔てることなく、そして容赦なく巻きついていきます。

下からのぼると、こっちのミラーに街燈の灯りが映ります。

大曲がりのすぐ下にある、平岡勘三郎良辰さんのお墓です。
明野町に緑豊かな棚田の風景が広がるのは、
彼が、朝穂堰(せぎ)を作ることに尽力を注いだおかげだそうです。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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