はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
イザベルとの再会
パリで最後の夜、パリジェンヌ、イザベルと再会した。
3年ほど前に、2週間ほど我が家にステイした上の娘の友人だ。3年前には、自己主張が強い彼女に、娘も夫もわたしも驚かされることが多かったと、なつかしく思い出す。
「わたしがダイエットしてるのを知ってて、どうして肉を出すの?」
そう言いながら、誰よりもすき焼きの肉をたくさん食べたイザベルは、表情にも勝気な性格がにじみ出ていたし、フランス人は自己主張が強いのだと、自分でも言っていたっけ。
だが、イザベルに会い、驚いた。
何かがほどけたように、やわらかい表情になっていたのだ。
「エッフェル塔には、結局行けなかったんだ」夫が言うと、
「それは正解よ。人が多いだけだもの」と笑う。
その口調はやわらかく、わたし達への気遣いも感じられた。夢に向かって勉強を続けている途中ではあるというが、23歳から26歳までの3年間で、ああ彼女は、大人になったんだなと思った。それがこんなふうに表情に表れるということは、いい時間を過ごしていたのだと判り、とても嬉しくなった。
そのイザベルが、言った。カナダにいる娘のことだ。
「昨夏パリで会ったときに、彼女はすごく変わっていてびっくりした」
まず外見が。以前は、いつでもきちんと化粧をしてひらひらした服を着ていたのに、ノーメイクでジーンズにTシャツ姿だった。そして中身も。以前は他人に合わせることが多かったのに、それがはっきりとした考えを持ち、反論だってするようになっていた。だから様々なことについて、ふたりでディスカッションしたというのだ。それが楽しかったと。
確かに彼女の外見は、はっきりと変わったよねと3人で笑いながら、考えた。
「そうか。親からは見えないところもあるけど、娘も変わってるんだ。もしかしたら、イザベルと同じくらいに」
そして、思った。人って、変わるんだな、と。彼女達は若い。けれど変わったのは、若いからというだけではないような気がする。人はいつでも、変わっていくし変わっていけるんじゃないかと、イザベルに再会し、思ったのだった。
photo by my husband
パリの旅行記は、これでおしまいです。夫が撮った写真を見ると、
そこにいた時には見えなかったパリが、写っているように思います。
3年ほど前に、2週間ほど我が家にステイした上の娘の友人だ。3年前には、自己主張が強い彼女に、娘も夫もわたしも驚かされることが多かったと、なつかしく思い出す。
「わたしがダイエットしてるのを知ってて、どうして肉を出すの?」
そう言いながら、誰よりもすき焼きの肉をたくさん食べたイザベルは、表情にも勝気な性格がにじみ出ていたし、フランス人は自己主張が強いのだと、自分でも言っていたっけ。
だが、イザベルに会い、驚いた。
何かがほどけたように、やわらかい表情になっていたのだ。
「エッフェル塔には、結局行けなかったんだ」夫が言うと、
「それは正解よ。人が多いだけだもの」と笑う。
その口調はやわらかく、わたし達への気遣いも感じられた。夢に向かって勉強を続けている途中ではあるというが、23歳から26歳までの3年間で、ああ彼女は、大人になったんだなと思った。それがこんなふうに表情に表れるということは、いい時間を過ごしていたのだと判り、とても嬉しくなった。
そのイザベルが、言った。カナダにいる娘のことだ。
「昨夏パリで会ったときに、彼女はすごく変わっていてびっくりした」
まず外見が。以前は、いつでもきちんと化粧をしてひらひらした服を着ていたのに、ノーメイクでジーンズにTシャツ姿だった。そして中身も。以前は他人に合わせることが多かったのに、それがはっきりとした考えを持ち、反論だってするようになっていた。だから様々なことについて、ふたりでディスカッションしたというのだ。それが楽しかったと。
確かに彼女の外見は、はっきりと変わったよねと3人で笑いながら、考えた。
「そうか。親からは見えないところもあるけど、娘も変わってるんだ。もしかしたら、イザベルと同じくらいに」
そして、思った。人って、変わるんだな、と。彼女達は若い。けれど変わったのは、若いからというだけではないような気がする。人はいつでも、変わっていくし変わっていけるんじゃないかと、イザベルに再会し、思ったのだった。
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そこにいた時には見えなかったパリが、写っているように思います。
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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