はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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半月を鞄に入れて

クチーナ徒然というカテゴリーを作った。
クチーナというのはイタリア語cucina。ムリムリに英語読みすれば、キッチンと読めなくもないこの言葉は、台所、または料理、料理法などの意味を持つ。
イタリアン率が上昇するきっかけとなったイタリア旅行の前に、NHKイタリア語会話にハマって、ずいぶんイタリア語と親しくなった。
「トイレはどこですか?」「ボンゴレはありますか?」など、なんとなく通じるくらいの言葉を言えるだけで相手の言葉は聞きとれないけれど、イタリア語を少ししゃべるだけでイタリアの人々は親しく親切に接してくれる。
日本で片言の日本語をしゃべる外国人に親切にしたくなるのと同じような気持ちなのだろう。アメリカで英語をしゃべってもそうはいかない。話せて当たり前という認識なのだ。なので少しもしゃべれないよりは楽しい旅行になった。
料理も少し覚え、イタリアの調理器具がほしくなり「メッツァルーナ」を雑貨屋で買い求めた。メッツァは半分、ルーナは月。半月と言う名の包丁。
両側に持ち手がついていて、カーブを利用してシーソーのように動かし、野菜や肉をみじん切りにする。みじん切りはあんまり好きな作業ではないけれど、メッツァルーナがあるだけで楽しくなる。イタリア人らしい発想だ。
メッツァルーナを鞄に入れて、ふわりとうれしい気持ちのまま、美術館に入った。そして、入り口でセンサーに引っかかった。
「メッツァルーナ?」と、守衛さんが笑って肩をすくめる。
「メッツァルーナ」と、わたしも笑って肩をすくめる。
「クチーナ?」と守衛さん。料理に使うのかい?
「ええ、日本料理に」となんとか答えるわたし。
イタリア語がもっとしゃべれたらなぁと思った。
「メッツァルーナじゃ、人は殺せませんよねぇ」なんてジョークをとばしたのに。(しゃべれなくてよかったかも)
夫は、わたしがイタリアでいちばん使ってた言葉はこれだねと言うけれど。
「すいませーん、生ビールくださーい」
           半月というよりは三日月に近い気がするんだけど

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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