はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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手袋、履きますか? はめますか?

今でも、口をついて出てしまう時がある。
「あ、びっきーとの散歩用の手袋、履いちゃった」
雪掻き中、一息ついた時にびっきーの匂いがして、つぶやいた。玄関に置きっぱなしにしていた散歩用の手袋には、まだ、2か月前に死んだびっきーの匂いが、残っていた。いつのまにか、2か月が過ぎていることに、驚く。

『手袋を、履く』と言うのは、両親が生まれ育った北海道は森町の言葉だ。
今でこそ、方言って素敵だなという感じ方も一般的になっているが、わたしが小学生の頃には、違う言葉 = 間違った言葉、方言を使うのは恥ずかしいという意識があり、それを違うと指摘する子もいた。
それに、わたしが使う北海道の言葉は、如何にも中途半端で、東京言葉のなか、自分でも知らないところに散りばめられているという具合。指摘されるのが嫌で、話すことが億劫になり、無口だと言われた頃もあった。

だが、ある時、母に聞いてみた。
「どうして、北海道では、手袋を履くって言うんだろう?」
すると、思いもよらない答が返ってきた。
「手は、真っ直ぐ下におろすと、腰より下になる。だから、北海道では、履くって言うんだよ。でも、上にあげると、腰より上。だからきっと、東京では、はめるとか、するとか言うんだね。どっちも間違いじゃないんだよ」
なるほど。すとんと腑に落ちた。それからは、口をついて出てしまった時には「北海道では、ね」と、話すようになり、気が楽になった。
地方によって違う言葉を使うのは、間違いじゃない。もしかしたら、面白くて素敵なことかもと、小学生のわたしは、わくわくとしたものだった。

びっきーの匂いと雪の匂いに、子どもの頃遊びに帰った北海道を思い出した。夏にしか行ったことのない北海道を、何故か思い出した。

びっきーを、いっぱい撫でて、匂いが染みついている手袋。

朝7時。前日溶けた雪が滑ってくださいと言わんばかりに、凍ってました。

畑に入る人は、誰もいません。動物の足跡すらありませんでした。

雪は、大好きです。歩くとサクッサクッと音がするのが楽しいし、
綺麗なものも汚れたものも、すべてを覆い尽くし、
真っ新にしてくれる。新しい気持ちが、静かに芽生えるのを感じます。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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