はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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冬一番の木枯らしが吹いて

冬一番などという言葉はないが、これはもう造語でも何でもいいから、あえてそう呼びたくなるような北風が吹いた。
「地震?」と、何度も疑ってみるが、風である。
我が家はこの土地に生えていた赤松を、大黒柱や梁などに使い建てたせいもあってか、隣りの林の赤松のようにしなり、揺れるのだ。
「こりゃ、防風林だな。いや、防風家(ぼうふういえ)だ」
友人のおしゃべりな大工さんは、これまためちゃくちゃな造語でからかう。

薪を運ぶと、木とは見た目よりもずいぶんと重いのだと判る。それを揺らす北風の強さは並大抵のものではない。これからの季節、その風に負け、または雪の重みなども加わり、重量のある木でも倒れることがある。
「この松は、倒れるとしたら、道路側だな」とか、
「そこの松が倒れたら、周りの山桜もみんな折れるんじゃない」など、
冬が近づき林の木の葉が落葉し、見通しが良くなるにつれ、びっきーと夫と散歩をしながらの会話も自然と倒木のことになった。ついこの間のことだが、遠い昔のことのように思い出す。

「悲しさにフタをしないで、びっきーの話をたくさんしてあげてくださいね」
友人からメールをもらった。それもあってか自然にか、普通にびっきーを思い出し、家族で普通にびっきーのことを話し笑っている。

「こんな風が強い日は、誰が散歩に行くか揉めたよなぁ」と、夫。
「揉めたことないよ。いつもわたしが行ってたじゃない」と、わたし。
「そ、それは、思い出、美しすぎるんじゃない?」
「事実だ」「嘘だ、いつも俺が行ってた」「いや、わたしが行ってた」
冬一番の木枯らしのなか、軽トラでゴミを出しに行くのも、びっきーと散歩した道。ふたり笑いながら、びっきーをたっぷりと思い出した。

北風に吹かれて、同じ方向を向いたススキ野原。
  
「キー、キー」と鳴きながら、ゆーらりゆーらり、揺れる赤松。

あ、これは、おとーさんに撮ってもらった写真ですね。僕が9歳の冬かな。
この道は、おとーさんとよく歩きました。甲斐駒が、綺麗ですねぇ。
木枯らし吹くなか、おとーさんは、いつも遠くまで連れてってくれたなぁ。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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