はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『チョコレートドーナツ』

映画『チョコレートドーナツ』は、甘くなかった。
1970年代、ニューヨークで起こった実話を、映画化したものだ。

母親に育児放棄された、ダウン症の少年、マルコは、施設に馴染めず隣人でゲイのルディと暮らすようになる。ルディは出会ったばかりのポールと恋に落ち、3人は一緒に暮らし始めた。マルコは、学校に通い始め、よく笑うようになり、ルディは毎晩ベッドで、お話を聞かせ、ポールは勉強を教えた。マルコは、チョコレートドーナツが好きだった。3人は家族になっていった。だが、その頃のアメリカでは、ゲイに対する差別意識が強く、親として失格だと、ふたりはマルコと引き離されてしまう。

印象的だったのは、差別することが正しいと思い込み、疑う気持ちを持とうとしない検察官の姿と、ただ愛する者と一緒に居たいと願う3人の対比だった。

自分が正しいと思い込み過ぎないこと。いつも自分を疑ってみること。
それは、とても難しい。しかし、夢中で走り過ぎているときこそ立ち止まり、考えたいと思っている。自分の胸の奥に潜んでいるかもしれない差別や、人を見下す気持ちや、自分を棚に上げるずるさなどが、浮上して来ていないか。

「母親が薬物依存症なのも、ダウン症に生まれたことも、彼のせいじゃない」
そんなルディの言葉で始まった3人の暮らしは、理不尽極まりない理由で、壊されてしまった。3人の繋がりが、これ以上ないほどに温かく、それだけに、ひどく胸が痛む映画だった。
  
ひとり映画の後、余韻を味わいつつ、ひとりビールを飲む幸せ。
ひとりを楽しめるのも、家族がいるからこそ感じられる幸せですね。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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