はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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『悪い冗談』

末娘と、芝居を観に行った。すでに2度足を運んだ劇団アマヤドリの「悪と自由」の三部作と銘打ったその第三作『悪い冗談』だ。
第一作『ぬれぎぬ』では、犯罪者は刑を処する前に必ず更生させなくてはならないとの法律を施行される世界で、殺人犯と厚生員とのやりとりが描かれた。
第二作『非常の階段』は、なんとなく入った詐欺集団で人を騙すうち、抜け出せなくなり、自分自身を見失っていく男を描いた。

第三作である『悪い冗談』は、様々な視点が交錯していく。
東京大空襲で、逃げ惑う人々。命令通り、爆弾を投下するアメリカ兵達。
別れ話を切り出そうとするが、自分が悪者になりたくないがあまり選択肢を並べ立て、恋人に選ばせようとする男。その恋人。
妹を殺された女は、殺人犯に繰り返し面会し憎しみをぶつけ続け、花見に来た集団は、韓国人と日本人とで互いの意識の違いを語り合い、研究者達は、人はどんな時、どんな相手に服従するのか実験を行う。
空襲で亡くなったであろう女の子が、ケンケンパを繰り返し、世の中に疑問を抱く男は、舞台上をただ走り続ける。

悪って何? 命令に従い爆弾を落とすことは悪なの? 悪者は誰なの? えっ、わたし? わたし達、みんな? そんな叫びが聞こえるような舞台だった。

舞台には、仮想の川が流れていた。
「川向う、対岸の火事ならぬ対岸の悪を、多くの人は眺めているのかも知れないな」そのまた傍観者であるわたしは、考えた。
だが、こちら側にいるのだとばかり思っていたら、向こうからも同じように眺める人がいて、いずれ立場は一転するのだ。わたしと彼、こちら側と向こう側の間の川面には、悪というものの不確かさが、ゆらゆらと流れていく。
戦争を始めた国のトップと、爆弾のスイッチを押す兵士と、国のトップを選び受け入れた国民。誰が悪なの?
つんつるてんの着物を着た女の子の「ケンケンパ」が、木霊していく。

池袋駅西口にある『東京芸術劇場』シアターイーストで、29日まで。

チケットとチラシと台本。チラシには「テーマパークになった、ニッポン」
とありましたが、わたしには、そのはっきりとした意味は判りませんでした。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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