はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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木はそこに立っている

束縛されるのは、苦手だ。もちろん束縛するのも、好きじゃない。
だが生きていれば、仕事があり、家庭があり、絡みついてくるものも多い。

この春まで、末娘が高校に通うため、朝夕駅まで送り迎えをしていた。無人の最寄駅まで歩けば1時間以上かかる田舎での暮らしでは、子どもの送迎は親の仕事の一つになる。所用で東京に出かけた時でさえ、娘を少し先の無人ではない駅で待たせ、待ち合わせて帰っていた。それを束縛だと思ったことは、1度もない。朝夕の彼女とのおしゃべりは楽しく、またしゃべらなくてもホッとする温かな時間だった。
娘が県外の大学に行った今、その送迎がなくなり、時間と心のスペースは、微妙にズレとひずみを生んでいる。

森を散歩していて、長く蔓に絡まれていたであろう木を見つけた。共に生きてきた蔓は朽ちてしまったのか、人の手で切られたのか。その木が自分に重なって見えた。淋しいとは思っていない。ただ、母と娘という関係で深く絡み合った時間を愛おしいと思うだけだ。

だが淋しいと思わずにいられたのは、思う暇もなかったからだとも言える。
上の娘がオーストラリアのワーキングホリデーから帰って来て、サム、マルコス、マリー、クリス。彼女を訪ねて4人の外国人がやって来た。娘はあれやこれや、にぎやかしく忙しくしていて、そんな彼女としゃべるのもまた楽しい。

絡んでいた蔓が失くなっても、木はそこに立っている。何年くらい絡み合っていたら、こんな風になるのだろうかと、木に深く刻まれた溝を撫でた。
  
北杜市は大泉町。ドライブの途中で車を降りて散歩した森で。

こちらは、びっきー側の隣の林です。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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