はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
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居心地のよさは違うということ

最近、家族というモノについてよく考える。
夫の実家に頻繁に帰省するようになり、夫婦でも親子でも、個なのだなあと感じる機会が増えたのだ。家では、誰もが居心地よく過ごしたいものだろう。だが、その居心地のよさは、一人一人違うのだと。

例えば、天井に吊したペンダントライト。義母は、すべてつけて明るい部屋で過ごす方が好きだが、義父は、半分だけ灯すのが好みらしい。同じ場所で過ごすためにはどちらかが譲らなくてはならない。
また、家族であれば、あるいは夫婦であれば、相手にも、自分の好みを判ってもらいたいと思う気持ちもあるだろう。明るくした方がいいのに。または、明る過ぎない方がいいのに。そんなふうに、相手が自分とは別の部屋にいるときにさえ、気になってしまうということも、ままあることだ。
小さなことだが、譲れないことは、家じゅうに転がっている。家族と言えど、自分ではない誰かと共に暮らすということは、本当に大変なことなのだ。

かくいうわたしたち夫婦にも、もちろん違うことがいっぱいある。
夫はキッチンカウンターのライトをつけるのが好きだが、わたしはキッチンのライトでじゅうぶんだからと、わざわざカウンターのライトまでつけることはなかった。彼がそのライトをつけるのが好きだと判ってはいても、キッチンで立ち働くときには気にかけなくてはならないことが山ほどあり、ライトにまで心配りができずにいたのだ。だがある日、彼が言った。
「ああ、そうか。俺はキッチンの外側の人間だから、このライトがついていた方がいいと思うんだ」
「なるほど。わたしは、なか側の人間だから、そこは気にならないんだね」
そんな会話をしてから、わたしはキッチンカウンターのライトを、毎晩つけるようになった。食卓に料理を運び、キッチンのライトを消すときに。

立っている場所も、見えているものも、同じ家で暮らしていても違うのだ。
もちろん、思うことも、感じる心も。
体調を崩した義母の代わりに夫の実家のキッチンに立ち、彼の両親と過ごす時間に、家族のなかの個が浮き上がるかのように見えてきたのだった。

滅多にスポットライトが当たることのないカウンターのライトです。
キッチンカウンターは栗の木。栗は、水に強いそうです。

薪ストーブのある西側の窓についても、夫にはこだわりがあり、
暮れなずむ林を見ていたいからと、真っ暗になるまでカーテンを閉めません。
でも、ある冷え込んだ夕暮れ、カーテンを閉めずにいたら言われました。
「寒いじゃん」わたし的には「!」そりゃ臨機応変って言葉は知ってるけど。

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HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
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