はりねずみが眠るとき
昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々
アイルランドの丸い石
アイルランドの土産をもらった。上の娘が旅してきたのだ。
丸い石にフクロウを描いたものだ。様々な絵が、様々な石に描かれていたという。人と同じく、石も、絵も、同じものはない。そのなかで「お母さん、こういうの好きだろうなと思って」と選んでくれたものだ。
「フクロウは、福が来る、幸せを呼ぶ鳥だって言われているらしいよ」
「そうなの?」
意味など考えてもいなかったというように、彼女は言った。ただ感覚のみで選んだのだろう。シンプルな絵も、色合いも、確かに好みだった。親子とは不思議なものである。
丸い石を手に取って、川を流れ角が削れ、丸くなったのだろうと、掌につややかな丸みを感じながら考えた。アイルランドにも川が流れ、それは海に続いている。ふと思い出したのは、映画『おくりびと』のワンシーンだった。
自分の心の形をした石を、いちばんぴったりとくるものを、幼い頃、主人公は、河原で父親と探した。丸いのかごつごつしているのか、大きいのか小さいのか、白っぽいのか黒ずんでいるのか、重いのか軽いのか。映画では、亡くなってから再会することとなった父親が、その手に丸い石を持っているのを大人になった主人公が見つける。
自分の心の形を思い描くとき、誰もが丸い石を思うのではなかろうか。それは、こうあってほしいというささやかな願いだ。思い描く形が丸だとしても、掌にのせてみたら、ささくれてがさがさした手触りかも知れない。決定的に欠けた部分が見つかるかも知れない。
しかし、丸くあってほしいと願う気持ちがあれば、欠けた部分もきっといつか、削れて角が取れ、丸くなっていくだろう。
娘がくれたフクロウが描かれた丸い石に、そんなことを思った。
ピンクストライプの薄紙の包装紙に、無造作に入っていました。
誰が描いたのかなあと、遠くアイルランドに思いを馳せます。
丸い石にフクロウを描いたものだ。様々な絵が、様々な石に描かれていたという。人と同じく、石も、絵も、同じものはない。そのなかで「お母さん、こういうの好きだろうなと思って」と選んでくれたものだ。
「フクロウは、福が来る、幸せを呼ぶ鳥だって言われているらしいよ」
「そうなの?」
意味など考えてもいなかったというように、彼女は言った。ただ感覚のみで選んだのだろう。シンプルな絵も、色合いも、確かに好みだった。親子とは不思議なものである。
丸い石を手に取って、川を流れ角が削れ、丸くなったのだろうと、掌につややかな丸みを感じながら考えた。アイルランドにも川が流れ、それは海に続いている。ふと思い出したのは、映画『おくりびと』のワンシーンだった。
自分の心の形をした石を、いちばんぴったりとくるものを、幼い頃、主人公は、河原で父親と探した。丸いのかごつごつしているのか、大きいのか小さいのか、白っぽいのか黒ずんでいるのか、重いのか軽いのか。映画では、亡くなってから再会することとなった父親が、その手に丸い石を持っているのを大人になった主人公が見つける。
自分の心の形を思い描くとき、誰もが丸い石を思うのではなかろうか。それは、こうあってほしいというささやかな願いだ。思い描く形が丸だとしても、掌にのせてみたら、ささくれてがさがさした手触りかも知れない。決定的に欠けた部分が見つかるかも知れない。
しかし、丸くあってほしいと願う気持ちがあれば、欠けた部分もきっといつか、削れて角が取れ、丸くなっていくだろう。
娘がくれたフクロウが描かれた丸い石に、そんなことを思った。
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誰が描いたのかなあと、遠くアイルランドに思いを馳せます。
HN:
水月さえ
性別:
女性
自己紹介:
本を読むのが好き。昼寝が好き。ドライブが好き。陶器屋や雑貨屋巡りが好き。アジアン雑貨ならなお好き。ビールはカールスバーグの生がいちばん好き。そして、スペインを旅して以来、スペイン大好き。何をするにも、のんびりゆっくりが、好き。
ご意見などのメールはこちらに midukisae☆gmail.com
(☆を@に変えてください)
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